俊介のスケボー連行事件

 夜仕事から帰ってくると俊介が涙ぐんでいてカミさんが怒っている。俊介が何かやらかしたのかと思って聞いてみると夜間無人となるNTT局舎の敷地内で仲間とスケボーをしていたところを巡回中のお巡りさんに見つかってパトカー2台で警察署に連行されて取り調べを受けたとのこと。
 カミさんが言うには「警察の対応はちょっと大げさすぎるのではないの」というので、一家3人で実況見分に行きました。現場の建物の2階の床の高さに相当するところに幅1mぐらいのベランダのような軒先があります。

 建物の左端には敷地より2mぐらい高いところに道路があり道路の端にはたかさ1mぐらいのフェンスがあります。道路と建物の間は1.5mぐらい離れています。

 俊介達はこのベランダを滑走してきて1.5m離れた道路に向かってフェンス越しにスケボーで飛び降りようとしていたようです。フェンスに引っかかると2m下の敷地に墜落する可能性があります。

 それを見た我々両親は顔を見合わせて「そりゃ警察が正しい。単に敷地内でスケボーを楽しんでいた少年達を過剰に拘束したのなら問題だが、おまえ達は明確に不法侵入をしている。ベランダは建物と同じで建物に侵入したのと同じだぞ。しかも危険行為をしている。警察がおまえ達にお灸をすえるのは当然だ」と。

 俊介も警察の対応に悔し涙を浮かべていたのですが少しは納得かな。しかし「俺たちの力量なら確実に飛び越せた」と懲りずに言い張っていた。

 実は俊介達は去年にも警察のご厄介になっていたのだが、それは被害者としてであった。実は去年お年賀状には以下のような文面が掲載される予定であった。カミさんの検閲にあってボツとなったのだがここに掲載します。去年なので俊介は中3であった。

 闘争を避ける平和主義者を見破られたのか、渋谷で高校生の一団に現金を喝上げされる。友人と尾行し、一味がハンバーガー屋でなごんでいるのを確認して派出所のお巡りさんに通報、彼らは御用となった。俊介にとってはめずらしいドラマティックな展開があった。 

 この時は被害者だったので警察からはていねいな扱いを受けていた。その時の刑事が格好良かったので「刑事になりたい」とか「捜査の仕事をしたい」という仲間も現れる程であった。ところが今年は被害者としてではなく取り調べられる側つまり被疑者としての扱いを受けることになった。それで対応の違いに愕然としたようである。というわけで少年達の夢はあっけなく破れ、単なる警察嫌いの少年達になってしまった。