音のデジャヴ(懐かしのポピュラーミュージック名曲百科) 

 デジャヴ(既視感)とは、昔どこかで見たことがあるような風景に出会う不思議な感覚のことを言いますが、音や音楽についても同じような経験があります。言うなれば既聴感ですね。
「この音楽はどこかで聴いたことがあるぞ」と思うような、昔ヒットしたポピュラーミュージックの名曲を「音のデジャヴ」として紹介したいと思います。

以前はMP3で45秒間試聴できるようにしていたのですがJASRAC(日本著作権協会から「著作権を侵害している」とクレームがついたので、現在サーバー上のおよそMP3楽曲は消去してあります。販売のための試聴はOKで個人が楽曲を紹介するための試聴はダメというのは納得がいきませんが、仕方がありません。全曲掲載は確かに著作賢者の権利を奪う行為ですが、好意的に楽曲の一部を紹介する行為はPRになりこそすれ、著作賢者の権利の侵害には当たらないと思うのですが、今のところ制度的に確立されていませんので、リンク先をYotubeに変更しました。

JASRACのYOUTUBEとの包括契約こそ、音楽著作権者への権利の侵害だと思います。YOUTUBEで曲の全部が視聴可能とされてしまうと、CDの売上や有料ダウンロードに悪影響を及ぼすと思われます



♪愛の讃歌 / ブレンダ・リー ( IF YOU LOVE ME / BRENDA LEE )

  「太陽が落ちようが、海の水が干上がろうが、私はかまわない。あなたが愛してると言ってくれれば」と70mmスペクタクル映画のような壮大なスケールでブレンダが歌っています。もともとはエディット・ピアフの作詞によるシャンソンの名曲です。
 ところでこの歌の歌詞がどうしてこう壮大なのか疑問に思ってしまいますが、伝説の元世界ミドル級チャンピオン マルセル・セルダン(フランス人1949年に飛行機事故で死亡)とピアフとの悲恋が背景にあると言われています。



♪愛の信条 / ミレイユ・マチュー ( Mon credo / MIREILLE MATHIEU )

 愛する人を信じる決意を高らかに歌ったミレイユ・マチューのデビュー・ヒット曲です。作詞はアンドレ・パスカル、作曲はポール・モーリア、バックの演奏もポールモーリア・グランド・オーケストラが手がけています。そう言えばリバーブのかかったエレキベースのサウンドやストリングスにピアノが絡む特徴のあるサウンドをよく聴くと、ポールモーリアらしさが判ります。
 ミレイユマチューはフランス、アビニョン地方の貧しい石工の家に生まれました。少女時代の唯一の楽しみは屋外で歌うことだったそうです。この曲を今聴き直してみると、彼女の生涯にわたる音楽への情熱と信念が秘められているような気がします。現在もドイツを中心として活躍しています。今でこそ、日本のメディアでは流れてはいませんが、どう見ても世界的大歌手です。日本でCDが手に入らないのが不思議です。私は翻訳サイトの手助けを借りながら苦労して、France Amazonから入手しました。
 「愛の信条の」歌詞の和訳をされている方がいます。こちらのページをご覧下さい。



♪愛の誓い / ベルト・ケンプフェルト楽団 (TILL / BERT KAEMPFERT AND HIS ORCHESTRA )

 トランペット・ソロを主題としたムード・ミュージック・オーケストラであるベルト・ケンプフェルト楽団の名演奏です。大変ロマンチックな名演奏で、トランペット・ソロが主題をやさしく奏でます。恋人同士が肩を寄せ合いながら夜空の星を眺めている−そのような状況のバックグラウンド・ミュージックには最適かと思われます。



♪青い休カナリア / ダイナ・ショア ( BLUE CANARY / DINAH SHORE )

   1953年にダイナ・ショアが唄ってヒットしました。日本では1954年ごろにヒットしています。女性スキャットの声とカナリアのさえずりが非常に印象的な曲です。雪村いずみが日本語盤を唄っていたと思います。こちらの方もヒットしていた様です。
  尼崎の私の実家の近くに1階が社交ダンスの教習所、2階がアパートになっている今から思えば不思議な建物がありました。近所の人々はその建物を「ダンス・アパート」と呼んでいました。近所の子供達が入り口近くの床に頬杖を付いて練習風景を見学しては、よく追い出されたものです。そのダンス教習所から聞こえて来たのがこの「青いカナリア」でした。5歳の私が、生まれてはじめてポピュラーミュージックに心惹かれた、思い出の曲です。



♪蒼いノクターン / ポール・モーリア・グランド・オーケストラ ( NOCTURNE / PAUL MAULIAT GRAND ORCHESTRA )

 「恋はみずいろ」や「シバの女王」のヒットで有名な70年代を代表するイージーリスニングオーケストラであるポール・モーリアのオリジナル曲です。豊かな響きのピアノ演奏で始まり、混声合唱がムードを盛り上げ、ストリングスに主旋律が引き継がれて行きます。曲の構成、音質、メロディーがおしゃれです。今までのムードミュージック・オーケストラがひたすら曲の美しさだけを追求してきたのに比べると何か小粋な感じがします。ポール・モーリアのフランス人気質が作品に影響しているのかもしれません。

 



♪碧空(アルフレッド・ハウゼ楽団)BLAUER HIMMEL(Alfred Hause & His Orchestra)

 コンチネンタル・タンゴの名曲として特に有名で、その中でもアルフレッド・ハウゼ楽団の演奏は秀逸です。もともとタンゴは南米アルゼンチンが発祥の地ですが、ヨーロッパでも盛んに演奏されるようになります。そこで南米のタンゴと区別するためにヨーロッパのタンゴをコンチネンタル・タンゴと呼ぶ様になります。南米のタンゴが土着の香りを残しているのと比較してコンチネンタル・タンゴはこのアルフレッド・ハウゼに見られるようにきらびやかで華麗なサウンドが特長です。
 「碧空」(あおぞらと読む)はヨーゼフ・リスクナーの作曲で生粋のドイツ生まれのコンチネンタルタンゴです。「碧空」は本来は「へきくう」と読むはずなのですがどういう訳か日本語のタイトルは「あおぞら」と読んでいます。



♪朝日のようにさわやかに / マントヴァーニ・オーケストラ ( SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE MANTOVANI AND HIS ORCHESTRA ) 

 高校生時代の日曜日のある朝、目覚まし代わりにセットしたラジオから何ともいえないさわやかなストリングスのサウンドが聴こえてきました。夢うつつに聴いたので、まさに楽園の調べのようでした。はっきり目覚めてからどうやらマントヴァーニの演奏のような気がしましたがタイトルは判りません。後ほどこの名曲が「朝日のごとくさわやかに」というジャズのスタンダードナンバーであることが判明しました。
 MJQに代表されるジャズの演奏も粋でいいのですがマントヴァーニの「朝日のようにさわやかには」本当にさわやかな演奏です。偶然この曲で目覚めると朝から何か得した気分になります。
 昔は「朝日のごとくさわやかに」というタイトルだったような気がするのですが、現在では「朝日のようにさわやかに」というタイトルで紹介される場合が多いようです。世の中から文語調表現がどんどんなくなっていくのはちょっと寂しい気がします。文章や言葉が安易な方向にばかり突き進んで、結局日本人の行動様式もそれにつれて安易な方向に流されてゆくのでしょうか。残念なことです。


Youtubeにアップされていなかったので、アップしてリンクしました。自分でアップするのは45秒でもだめで、YouTubeなら曲の全部でも可能なのです。MP3の192kb/secなので音質がかなり良く、CDの売上に悪影響が出てしまいそうです。



♪アドロ / フランク・プールセル・グランド・オーケストラ ( ADORO / FRANK POURCEL GRAND ORCHESTRA )  

  日本TVのドラマ「光る海」のテーマミュージックに使われて1972年に日本で大ヒットしました。日本でヒットしたのは72年ですがプールセルはすでに67年にこの曲を発表しています。プールセルの、やさしく体を揺らすような、ストリングスサウンドが聴く者になんとも言えないここちよさを与えてくれます。プールセル以外にも、グラシェラ・スサーナ のボーカル盤がヒットしていました。



♪ヴァケイション / コニー・フランシス ( VACATION / CONNIE FRANCIS )

  ゲイリー・ウウェストン、ハンク・ハンターとコニーが共同で書いたビートの利いたツイストの名曲です。コニー・フランシスのボーカルもさることながら、編曲や演奏もすばらしく、ノリの良いご機嫌なツイストに仕上がっています。団塊の世代の同窓会でこのCDを演奏すると、「老境に差し掛かったオジさんオバさん達がやおら立ち上り、狂った様に踊り出す」と言うすごい曲である。彼らの青春真っ只中は、この曲に代表される「ツイスト」が一世を風靡していたのです。


 
♪「ウェスタン」のテーマ / エンニオ・モリコーネ楽団 ( Once Upon A Time In West / E.Morricorne And His Orchestra )

   チェンバロののどかなソロで始まり、やがて女性スキャットの清らかな旋律が主題を奏でます。敬虔な響きには思わず祈りをささげたくなるほどです。おそらく 誰でも一度は耳にしたと思われる名曲です。テレビの海外取材番組の感動的なシーンにいまだによく使われています。
  映画「ウェスタン」は1969年に公開されたマカロニウウェスタンの大作です。たしかチャールス・ブロンソンが出演していました。音楽はイタリア出身の映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネが担当していました。



 
♪ウェスト・サイド物語 / スタンリー・ブラック指揮ロンドン・フェスティバル管弦楽団 (WEST SIDE STORY / London Festival Orchestra Conducted By Stanley Black )

 レナード・バーンスタイン作曲、ロバート・ワイズ監督のミュージカルの名作「ウェスト・サイド物語」の代表的なナンバーをスタンリー・ブラック指揮のロンドン・フェスティバル管弦楽団がメドレー形式でダイナミックに演奏しています。音質演奏ともにサントラ盤をしのぐ名演奏、名録音です。
 ダイナミックなサウンドは映画が公開されたときに良く使われた名文句「70ミリの大画面に叩き付けるような」迫力です。 



 
♪ヴェニスの夏の日 / マントバーニ・オーケストラ ( SUMMER TIME IN VENICE / MANTOVANI AND HIS ORCHESTRA )

 1955年のイギリス映画「旅情」の主題歌です。マントバーニはさすがギリシャ出身だけあってスペインやイタリア等地中海に面した地域の情景描写が大変巧みなようです。主演のロッサノ・ブラツィが「ため息をつくように」唄っているヴォーカル盤もいいですが、このマントバーニの演奏もなかなかだと思います。



♪ヴォラーレ
/ ドメニコ・モデューノ (Nel Blu, Dipinto Di Blu / DOMENICO MODUGNO )

  ドメニコ・モデューノ自身が作曲したカンツォーネの代表曲です。オペラの本場のイタリアではクラシックの歌曲が生活の中で歌われていました。街のおばちゃんの歌う鼻歌がオペラのアリアだったりしたそうです。そのような伝統がポピュラーミュージックの世界に開花したのが「カンツォーネ」と呼ばれるイタリアのポピュラーミュージックです。
  1958年のサンレモ音楽祭で初出場のドメニコ・モデューノは自ら作曲した「ヴォラーレ」で見事初優勝を飾ります。その後、「チャオ・チャオ・バンビーナ」や「愛は限りなく」などの名曲を発表します。この「ヴォラーレ」はジプシー・キングスのカヴァーでも一躍有名になりました。
 モデューノの「ヴォラーレ」は当初ゆっくりとした曲調で発表されました。その後1960年代にツイストが世界中でヒットするとツイスト・バージョンの「ヴォラーレ」が発表されます。大編成のオーケストラをバックに軽快なツイストのリズムで歌っています。録音がすばらしく、収録しているホールの大きさが判るぐらいです。今回はそのツイスト・バージョンでお聴きください。



♪ウシュカ・ダラ/アーサー・キット(USUKA DARA-A TURKISH TALE / KITT,Earth)

 何とも不思議な異国情緒のあふれる曲です。おそらく幼少のころ2〜3回商店街で流れていたのを聴いただけなのですが記憶のどこかにしつこく残っていたようです。大学生時代にLP盤の「S盤アワーの歴史」を購入したとき、懐かしく思い出しました。歌っているのはアーサーキットで、トルコ語を取り入れた癖の強い歌詞やメロディーと間奏部分の彼女のフォーマルな英語のナレーションの対比が面白いと思います。
 アーサーキットは後に実力派のジャズボーカリストとして数々のヒットを出していますが、デビュー当初はこのような「企画物」のシングルを多く出していたようです。日本の童謡を題材にした「ショージョージ」もヒットさせています。



♪嘘は罪 / ロバート・マクスウェル楽団  (IT'S A SIN TO TELL A LIE / ROBERT MAXWELL AND HIS ORCHESTRA )

  ビリー・メイベウ作曲のスタンダードナンバーです。演奏は引き潮で有名なロバート・マクスウェルのハープ演奏です。ロバート・マクスウェルによる演奏は歯切れがよくカラッと明るくて原曲とはまったく別の曲のような気さえします。ロバート・マクスウェルは当時としては珍しい一人多重奏の録音テクニックを使って録音していました。



 ♪唄う風/ ラルフ・フラナガン楽団 ( SINGING WINDS / R.Flanagan and his Orchestra )

 クラリネットセクションを中心にした主旋律の後をトランペットセクションの伴奏が追う古典的なスィング・ジャズの演奏です。歯切れのよいクラリネットサウンドとウッドベースによる力強い低音部、正確なリズムを刻むドラム演奏と言い、聴いていて全く違和感のないパーフェクトな演奏、編曲、録音です。モノラル録音ですが1952年に録音されたとは思えないほどの高音質です。
 原曲はプッチーニ作曲のオペラ「蝶々夫人」の中の「舟歌」で、ラルフ・フラナガンが編曲したそうなのですが、編曲が巧みなのかクラシック曲らしさを全く感じさせません。
 DJ番組の草分け的存在である「S盤アワー(DJ帆足まり子さん)」のエンディングテーマに使われていました。



 
♪栄光への脱出 / スタンリー・ブラック指揮ロンドン・フェスティバル管弦楽団 (EXODUS / London Festival Orchestra Conducted By Stanley Black )

  イスラエル建国を描いた映画でイスラエルを賛美していますが、イスラエルの建国によって土地を奪われたパレスチナ人の眼には侵略の賛美と写るでしょう。映画の中立性は別として、この映画の音楽は素晴らしく、幾多の迫害を受けながらも約束の地にユダヤ民族の祖国を建設しようとする民族の悲願がダイナミックに表現されています。作曲のアーネスト・ゴールドは「栄光への脱出」で1960年度アカデミー音楽賞を受賞しています。実は彼もユダヤ人で、ナチスのオーストリア侵略から逃れるため、一家でオーストリアを脱出してニューヨークに移り住んだ経歴の持ち主です。



♪エーゲ海の真珠 / ポール・モーリア・グランド・オーケストラ ( PENELOPE /PAUL MAULIAT GRAND ORCHESTRA )

 ポール・モーリアはそれまでのムードミュージックが旋律を中心に音作りが為されていたのをビートを効かした軽快な演奏に変えました。
 「エーゲ海の真珠」は日本で付けられた名前で原題は「ペネロペ」です。ペネロペとはギリシャ神話の中でオデュッセウスの帰りをひたすら待ちわびる貞節な妻ペネロペを指し示していると思います。どちらかと言うと重いスケールの大きいテーマなのですがポール・モーリアは華麗に、軽快に、明るく表現しています。



♪エストレリータ / ロバート・マクスウェル楽団 (Estrellita / Robert Maxwell And His Orchestra )

  エストレリータとはラテン語で小さな星をあらわしています。 夜空に小さな星が瞬いている様子がハープの演奏で見事に表現されています。「エストレリータ(小さい星よ)、ここに降りてきて私の恋をかなえておくれ」と願うロマンチックなカンシオン(歌曲)でメキシコのマヌエル・M・ポンセの作曲です。



♪縁は異なもの / ダイナ・ワシントン ( What A Difference A Day Made / DINAH WASHINGTON )

 黒人のブルースシンガーで「ブルースの女王」と呼ばれたダイナワシントンが1959年にヒットさせたラテン音楽の名曲です。作曲はキューバの女流作曲家マリアグレベール。英語の原曲は What a different a day made.となっており、最愛の人からの愛の告白を受けてから一日がいかに変わったかを切々と歌い上げています。邦題の「縁は異なもの」とは味な名の付け方です。これは江戸版のいろはかるた「縁は異なもの味なもの」をヒントにしたものと思われます。中学生の頃「縁は異なもの」という題名を見て意味がさっぱり判らなかったのを思い出します。
 ところでダイナワシントンの歌声は黒人ブルースシンガーの割りには声に張りがあり発音も聞き取りやすく、白人のシンガーが歌っているのではないかと思われるほどである。この後に続く多くの女性ボーカリストの目標となった歌手ですが39歳の若さでこの世を去ってしまいます。
 演奏はウッドベースが落ち着いた雰囲気を醸し出して、聞く人の心を安らかにします。ウォン・カーウァイ監督の香港映画「恋人たちの惑星」で映画音楽として効果的に使われていました。又、クリント・イーストウッドとメリル・ストリープが共演した映画「マディソン郡の橋」でも使われていました。
 「縁は異なもの」はこの他にもいろんなボーカリストが歌っています。リストアップされた方がいますので興味のある方はそちらのサイトもご覧下さい。




♪縁は異なもの / ザビア・クガート楽団 (What A Difference A Day Made / XAVIER CUGAT AND HIS ORC.) 

 こちらは女性ボーカルに代わってトランペットソロが甘くせつなく主題を歌い上げます。トランペットソロに続いてコンガの演奏が実にムーディに演奏を盛り上げて行きます。この名曲名演奏ですてきな人と寄り添ってダンスが踊れたら何と幸せなことかと思ってしまいます。
 ザビアクガート楽団は1950年代から60年代に活躍したアメリカ屈指のラテンオーケストラです。大編成でストリングスセクションが投入された録音も多く有ります。ラテンリズムの中でも特にルンバが得意だったような気がします。
 NHK FM(だったと思う)ラテンアワーの主題曲にも採用されていたと思います。



♪オリーブの首飾り / ポール・モーリア・グランド・オーケストラ ( EL BIMBO / PAUL MAULIAT GRAND ORCHESTRA ) 

  この曲絶対に聞いた事があると思います。そうです。マジック・ショーのバックにで流れている軽快な曲です。70年代にものすごくヒットした名曲でした。実は原曲はエル・ビンボーと言うちょっと暑苦しいディスコサウンドでした。それをポールモーリアは華麗なイージーリスニングに変身させ大ヒットさせました。
  軽快なリズムに乗った流れるようなサウンドは鮮やかな手さばきのマジック・ショーにぴったりで、マジックの定版ミュージックになっています。



♪悲しみのルンバ / ウーゴ・ブランコ楽団 ( DOS ESCLAVOS / HUGO BLANCO Y SU ARPA VIAJERA )

 「コーヒー・ルンバ」で有名なウーゴ・ブランコ楽団の哀愁の漂う名曲。邦題は「悲しみのルンバ」ですが原題は「二人の奴隷」です。アルバが奏でる悲しみの主旋律にグラベス、ギロ、コンガのパーカッションが絡むなかなか聴かせる名演奏です。
 「コーヒー・ルンバ」も「悲しみのルンバ」もリズムは正確に言うとルンバではなくてオルキディアというリズムだそうです。クラベスによるリズムがルンバに非常に似ていることからルンバの名がつけられていますがよく聴くとクラベスの拍子のタイミングが微妙にルンバと異なるように思います。日本人にとってはこちらの方が単純でなじめるリズムだと思います。



♪悲しみは空の彼方に / ジェームス・ラスト楽団 (MUSIC FROM ACROSS THE WAY / JAMES LAST ORCHESTRA)

 ジェームス・ラスト楽団はドイツのイージー・リスニング・オーケストラですが、この曲に限ってはめずらしく混声コーラスを起用して、演奏だけではなく歌詞による表現も加えています。作曲はジェームス・ラスト、作詞はSigmanとなっています。ジェームス・ラストにとって、よほどこの歌詞が気に入っていたのでしょう。残念ながら歌詞カードがないのでどういう内容の曲かよく判りません。しかし「通りを横切って音楽が聴こえて来る」と言う感じはよく理解できます。
 小学校の低学年の頃、親父のズボンのポケットから小銭をくすねては一人自転車で遠くの街まで出かけていったものです。そして見知らぬ街を陽が傾くまでさまよっているとき、何処からともなく私の名を呼ぶ母の声が聞こえてきたような気がして「ハッ」としたものです。似たような名前の我が子をさがし求めている見ず知らずの母親の声だったか、あるいは空耳だったかもしれません。ふと我に帰って、「母が私の帰りが遅いのを心配しているのではないだろうか?」そう思うと、急に罪悪感とともに寂しさがこみ上げてきます。そのような時、街の何処からとも流れてくる音楽が印象深く私の心に残ったのです。



♪カントリー・ジェントルマン / チェット・アトキンス ( Country gentleman / Chet Atkins )

  何気ないギターのカントリーサウンドではありますが、ほのぼのとした安らぎを与えてくれる不思議なサウンドです。1953年に最初のレコーディングがされています。
  チェット・アトキンスはギター奏者として有名ではありますが、RCAレコードの録音部の責任者としてエルビス・プレスリー等、多くのミュージシャンを育てています。ミュージシャンとしても大変長く活動しており70歳を過ぎてもセッションでのアルバム作りに参加していた様です。
  2001年6月30日にガンで亡くなりました。享年77歳でした。「自分がほしかった音を手に入れたことがないし、ほしかった和音をひいたことがない。全精力で、私は『平凡さ』と戦っていたんだ。すぐに、自分を捕まえにくる凡庸さと」これは、2001年7月17日付けの朝日新聞の記事に掲載されていた彼の言葉ですが、何と謙虚でひたむきな人生観でしょうか。
  カントリー・ジェントルマンこそ周囲の人から愛しつづけられた彼のあだ名だったのです。



♪急流 / フランク・プールセル・グランド・オーケストラ ( LE TORRENT / FRANK POURCEL GRAND ORCHESTRA )

 急流という名の割りにはのどかな曲調のストリングスサウンドです。元は1955年のサンレモ音楽祭入賞曲で、ラオ・カルネ作曲のカンツォーネです。1950年代のテレビの天気予報や番組のお知らせのバックに流れていたような気がします。


 
 
♪グリーンスリーブス / マントヴァーニ・オーケストラ  ( GREEN SLEEVES / MANTOVANI AND HIS ORCHESTRA ) 

 マントヴァーニ・オーケストラは1950年から60年代にかけて時代をリードし続けた大編制のストリングスオーケストラです。最もオーソドックスなスタイルを取り続けたオーケストラでもあります。数十年間にわたってスタイルを変えなかったのは立派と言えましょう。弦の弾き始めをずらしながら演奏する流れるようなストリングスサウンドは「カスケーディングストリングス」と呼ばれていました。間奏に時々ホルンの演奏が入るのも特徴の一つで、喫茶店でストリングスサウンドが流れてきた時、間奏のホルンを聴いて「あっこれはマントヴァーニの演奏だ!」と判ったものです。
 グリーンスリーブスは英国の古くからの民謡で作者は不明だそうです。これほどまでの美しい曲が作者不明なのもミステリアスな気がします。その辺りを本格的に調べた方がいらっしゃるので興味のある方はぜひご覧下さい。グリーンスリーブスはシネラマ「西部開拓史」の中でも使われていました。名歌グリーンスリーブスも今では電話の保留音で有名になってしまいました。



♪グラナダ / パーシー・フェイス楽団 ( GRANADA / PERCY FAITH & HIS ORCHESTRA )

 メキシコの作曲家アグスティン・ララ作曲のラテン音楽の名曲です。グラナダはスペインのアンダルシア地方の都市で、アルハンブラ宮殿が有名です。大編成のブラスセクションやストリングスでダイナミックに演奏しています。



 ♪恋のゲーム/ ジェームス・ラスト楽団 (Games That Lovers Play / JAMES LAST ORCHESTRA)

 

単調なメロディーの繰り返しでありながら、何か心に残るサウンドです。曲名は男女の駆け引きを表しているのですが、演奏のほうは行進曲風に仕上がっておりドイツ人らしい生真面さが現れています。ジェームスラストはこの他にも「サンタマリアの祈り」が有名です。


♪恋はフェニックス / グレン・キャンベル ( BY THE TIME I GET TO PHOENIX / GLEN CAMPBELL )

 原題は「By the time I get to Phoenix」「フェニックスに着くまでには、彼女は起きているだろう」と言う歌い出しで始まるこの曲は、アメリカ南西部を車で横断しながら、部屋に残してきた女に思いをはせる男を描いています。広い荒野を疾走して行く乗用車を風のようなストリングスサウンドが表現し、男の気持ちをグレン・キャンベルが歌い上げます。
 曲の構成がすばらしく、グラミー賞を獲得したのもうなづけます。邦題の「恋はフェニックス」は不死鳥のフェニックスに掛けているのだろうがちょっとニュアンスが変わってしまいます。直訳の「フェニックスに着くまでには」で良かったのではないでしょうか。



♪この素晴らしき世界 / ルイ・アームストロング ( What a Wonderful World / Louis Armstrong )

  淡々と自然豊かなこの世界のすばらしさを歌っているように聞こえます。しかしこの曲が発表された時期はベトナム戦争真っ盛りで、とてもこの歌の内容が現実と一致している訳ではなかったのです。 さらに当時は黒人の公民権も確保されておらず、人種差別も制度として残っていたのです。
 「この素晴らしき世界」はアメリカの銃社会を批判的に描いたドキュメンタリー映画の名作「ボウリング・フォー・コロンバイン」   でも大変印象的に使われていました。独立や自由を求めるデモ隊の人々に対して、あるいは占領した地域の住民に対してピストルで惨殺してゆく記録映画のシーンがあります。「この素晴らしき世界」の唄声が流れる中、弾丸を頭や体に受けてはじかれるように人々は次々と死んでいきます。本来とても残虐なシーンなのですが、この曲とともに見ていると滑稽に思えるのです。ブラックユーモアの極致でしょう。
 そうです。「この素晴らしき世界」は矛盾と不条理と残酷に満ちあふれた世界なのです。



♪コーヒー・ルンバ / ウーゴ・ブランコ楽団 (MOLIENDO CAFE / HUGP BLANCO Y SU ARPA VIAJERA)

 1950年代から60年代にかけて、世界のさまざまな国のの名曲が各国のレコード会社を通じて世界に紹介されていました。コーヒー・ルンバはベネズエラのアルバ奏者(当時はインディアン・ハープと呼ばれていた)のウーゴ・ブランコが世界中にヒットさせた名曲、名演奏です。
 作曲はウーゴ・ブランコの叔父さんにあたるホセ・マンソです。リズミカルでビートが聴いたハープの演奏ですが、ほのかな哀愁が漂うところがヒットの秘密かもしれません。「クスリ・ルンバ」と言う替え歌をアントニオ古賀が歌っていました。


 
♪コンチネンタル/ロイヤル・フィルハーモニー・ポップス・オーケストラ (CONTINENTAL /ROYAL PHILHARMONIC POPS ORCHESTRA)

  流れるようなストリングスとリズミカルなブラスセクションがが絡み合った優雅でダンサブルな名曲です。フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースが初めて主演した映画「コンチネンタル」のダンス・シーンのためハーブ・マジスンが作曲しました。この曲もどこかで聴いた事があるような気がします。 
  さすが名曲です。アカデミー音楽賞の第1回受賞曲となっています。  



♪さくらさくら / リカルド・サントス楽団 ( SAKURA SAKURA / RICARDO SANTOS AND HIS ORCHESTRA )

 リカルド・サントス楽団はドイツを代表するムード・ミュージックのオーケストラですがコンチネンタル・タンゴからラテン・ミュージック、スイング・ジャズと演奏出来るジャンルの大変広い楽団でした。いろんな分野の名演奏のLPが60年代に発表されていたのですが残念ながら現在入手できるのは代表作である「真珠採りのタンゴ」ぐらいで、この「ホリデイ・イン・ジャパン」のCDもとうとう廃盤になった様です。と書いていましたが復活したようです。(新宿の紀伊国屋書店のCD売り場で見かけました)
 リカルドサントスのホリデイ・イン・シリーズにはホリデイ・イン・ニッポンやホリデイ・イン・イタリー、それにファンタジー・オブジャパンなどがありました。ホリデイ・イン・ジャパンがおもに日本の童謡や叙情歌を取り上げているのに対してホリデイ・インニッポンは民謡を、ファンタジー・オブ・ジャパンは雅楽を取り上げていました。
 ホリデイ・イン・ジャパンは編曲、演奏もさる事ながら録音の音質も素晴らしく、オーディオマニア(当時はハイファイ・マニアと呼ばれていた)の試聴用レファレンスLPとなっていました。
 リカルド・サントスがホリデイ・イン・ジャパンやホリデイ・イン・ニッポンを編曲したときは日本を訪れた事が全くなく、日本の情景を写真と想像によって編曲したそうです。どうりで編曲が中国風になるわけです。しかし演奏や編曲は素晴らしく、咲き乱れる桜のピンク色が目に浮かぶような色彩感豊かな演奏です。

 



♪ザッツ・ザ・ウェイ / K&C ザ・サンシャイン・バンド(THAT'S THE WAY (I LIKE IT)  K&C THE SUNSHINE BAND)

 この曲を聴くと今でも、「頭の中でストロボライトの閃光がひらめき、体が縦ノリで動き出す」方もいらっしゃるのではないでしょうか。1970年代後半にディスコでもっとも演奏されていた曲だと思われます。
 ディスコブームではあったものの当時の16ビートの曲をそのまま踊ってしまうととても体がついて行かず、そのため2分の1の8ビートや4分の1の4ビートで踊っているお兄さんお姉さんが多かったような気がします。そのような状況の中で「
ザッツ・ザ・ウェイ 」はオリジナルのビートそのままで踊れる随分日本人ライクなテンポの曲で、放送はあまりされませんでしたが日本中のディスコで大ヒットしました。



♪シバの女王 / ポールモーリア・グランド・オーケストラ ( LA REINE DE SABA /PAUL MAULIAT GRAND ORCHESTRA )

 ポール・モーリアとレーモン・ルフェーブル・オークストラの演奏で大ヒットしたイージーリスニングの傑作である。シバの女王とは紀元前、南アラブに存在していたシバ王国の英知と美貌を持ち合わせていた名君ベルキス女王を表していると思われます。
 1968年当時発売されたシングル盤では「サバの女王」というタイトルがつけられていました。レーモン・ルフェーブルの方は最初から「シバの女王」のタイトルでした。作曲はミシェル・ローラン。中西礼作詞の日本語版が「愛の奴隷」というタイトルで高橋キヨシやグラシェラ・スサーナ によって唄われ、こちらの方もヒットしていました。



♪シバの女王 / レイモン・ルフェーブル・オーケストラ (LA REINE DE SABA /RAYMOND LEFEVRE)

 このレイモン・ルフェーブル盤のシバの女王も名演奏です。音楽はオリジナル版に対して対抗版が出るとどちらかが好きになってしまい、優劣のの判定が簡単に付いてしまいます。そして仮にオリジナル版を上回る作品が出現してしまうと今まで聴いていた作品は見向きもされなくなってしまいます。このあたり男女の関係に似ているような気がします。
 ところがポール・モーリアとレイモン・ルフェーブルの「シバの女王」は、聴き込めば聴き込むほど優劣がつかなくなるほど、互角でしかもそれぞれ特長を出しています。
 ポール・モーリアのドライで明るい演奏と比較すると、レイモン・ルフェーブルはしっとり落ち着いた演奏と女性スキャットに特徴があります。あなたはどちらがお好みですか?聴き比べてみてください。



♪ジャワの夜は更けて/アル・ハート(JAVA / AL HIRT)

 アル・ハートはディキシーミュージック分野出身のトランペッターでこの曲にもディキシー・ミュージックの影響がうかがえます。しかし若干のファンキーさは残るにしても、軽快なシンバルのサウンドや男性コーラスのスキャットを隠し味に入れるなど編曲や録音が洗練されています。ブライトなトランペットの音質も魅力です。



♪ジェラシー / クレバノフ・ストリングス・オーケストラ ( JALOUSIE / THE CLEBANOFF STRINGS )

 コンチネンタルタンゴの名曲でアルフレッドハウゼ楽団の演奏でもおなじみですが、クレバノフストリングスオーケストラは大編成の菅と弦とパーカッションを縦横無尽に折り交ぜたダイナミックで変化のある名演奏で聞かせます。タンゴからルンバのリズムに変化させるところなどは心にくいばかりです。デンマークの作曲家ヤコブガーデの作曲です



♪シャルメーヌ / マントヴァーニ・オーケストラ ( CHARMAINE / Mantovani and His Orchestra )

 マントバーニーの代表作でバンドテーマ曲ともなっている名曲。オリジナルは無声映画の「栄光ぞ何するものぞ」で上映の際には楽士たちが演奏していたそうです。1951年頃発売されると世界中にヒットしますがその後1960年代までレコードは売れ続けていました。
  「シャルメーヌ」はトム・ハンクス主演の映画「グリーンマイル」の冒頭のシーン、老人ホームのBGMとして使われていました。このような名曲をBGMに使ってくれる老人ホームがあったなら、将来、私もぜひ入所したいものです。



♪白い渚のブルース / アッカー・ビルク (STRANGER ON THE SHORE /ACKER BILK)

 柔らかなクラリネットサウンドがどかな渚の昼下がりをかもし出しています。邦題は「白い渚のブルース」となっていますが、とてもブルースとは言い難い曲です。もともと1961年にアッカー・ビルクがBBCのテレビ番組「渚の見知らぬ人」の主題曲として作曲したものです。当時「何々のブルース」と名付けられた曲が多くヒットしていたので、それにあやかって邦題を「白い渚のブルース」にしたものと思われます。「渚の見知らぬ人」の方が雰囲気があってよかったと思うのですが。 「白い渚のブルース」はビリー・ボーン楽団の演奏でもヒットしました。



♪シンシアのワルツ / パーシー・フェイス楽団 ( A WALTZ FOR CYNTHIA / PERCY FAITH AND HIS ORCHESTRA)

 パーシーフェイスの初期の代表作でノルベール・グランベールが映画音楽に作ったそうなのですがどのようなタイトルの映画なのかは不明です。「シンシアのワルツ」は今でもヨーロッパの街角で辻音楽師がよく演奏しているそうです。優雅なメロディーを幅のあるストリングスがふくよかに演奏しています。



♪真珠採りのタンゴ / リカルド・サントス楽団 ( SONG OF THE PEARL FISHER / RICARDO SANTOS AND HIS ORCHESTRA )

 パーシーフェイスの「夏の日の恋」にならぶムードミュージックのミリオンヒット曲です。基本的にはコンチネンタルタンゴの名曲ですが、幻想的な女声スキャットとストリングスが絡み合った名編曲、名演奏です。リカルド・サントス楽団は別名がウェルナー・ミューラー楽団ともいわれており、リカルド・サントス版はポリドール・レーベルから、ウェルナー・ミューラー版はロンドン・レーベルから発売されていました。ただし同じ曲でも楽団員の編成が異なっているらしくサウンドはかなり異なっていました。残念ながら現在CD化されておらず入手不能となっています。ただし各レコード会社のファミリークラブから発売されているムード・ミュージック大全集やポピュラーミュージック大全集などにはリカルドサントス版の「真珠採りのタンゴ」が含まれているようです。



♪素敵なあなた / アンドリュー・シスターズ ( Bei Mir Bist Du Schon / ANDREW SISTERS )

 「言葉で言い尽くせないほどあなたは素敵」と唄われるこの曲のメロディーはどことなく中東の香りが漂います。それもそのはずで作曲者のショロム・セコンダと作詞のヤコブ・ヤコブスは名前からしてユダヤ系の人物と想像されます。原題は Bei Mir Bist Du Schon で恐らくドイツ語かイスラエル語で「あなたは素敵」というような意味だと思われます。1938年のアンドリュー・シスターズのヒット後ユダヤ系米国人であったアーティ・ショウやベニー・グッドマンが好んで演奏していました。週刊「モーニング」で連載中の「部長島耕作」の中で、アメリカのナイトクラブで病欠した歌手に代わって修行中の日本人女性歌手がこの曲を歌い、観客から大受けするシーンがありました。どうやら作者の弘兼憲史さんもお気に入りの様です。



  ♪素敵なあなた / ジャニス・シーゲル ( Bei Mir Bist Due Schon / Janis Siegel )

 第二次世界大戦前夜のハンブルグの街でナチスに従わずにスィング・ジャズに熱中していた若者たちを描いた1994年の米国映画「スウィング・キッズ」のラストシーンで効果的に使われていました。家を棄て街を出て行く主人公の青年が、最後のダンスを感情を爆発させながら刹那的に踊るシーンで、泣き叫ぶ様なトランペット・ソロが破滅的な終末に突き進んで行くのを暗示しているようでした。なかなかの名演奏だったのですが残念ながらこのトランペット・ソロの部分はサウンド・トラック盤には収録されていませんでした。サウンド・トラック盤は国内発売されておらず入手は輸入盤のみとなっています。
 画面のカットが、音楽性とストーリーの内容を踏まえて絶妙のタイミングで切り替えられていて、ハリウッドのプロの技が思い知らされます。



♪ソウル・トレインのテーマ / M.F.S.B ( T.S.O.P / M.F.S.B )

  ソウル・トレインのテーマは女性コーラストリオ スリー・ディグリーズの曲としても有名ですが本来はM.F.S.B(Mother,Father,Sister,Brother)と言うスタジオ・ミュージシャンの大編成集合体の作品です。本来この曲はThe Sound Of Philadelphiaと言う名前でフィラデルフィア・レコードのテーマ・ミュージックとして作られたようです。ソウル・ミュージックとジャズやイージー・リスニングを融合させた名編曲、名演奏です。学生のころレーベルに印刷されていた原題を見て「T.S.O.P? M.F.S.B?新しい著作権管理団体の名前かな?」と思ったものでした。この曲が米国の有名なテレビ番組ソウル・トレインのテーマとして採用され大ヒットしました。M.F.S.Bの演奏の一部にスリーディグリーズがボーカルをかぶせていました。しかし曲のほとんどはM.F.S.Bの演奏であるのでアーチストとしてはM.F.S.Bと言うのが正解でしょう。
 このようなことはスキャットの名唱で有名なサンプルー楽団の「二人の天使」が後にスキャットを歌っていたダニエル・リカーリの曲として紹介される様になったのと似ています。しかし「二人の天使」の場合は最初から最後までスキャットが続いているのに比較してT.S.O.Pの場合、スリー・ディグリーズのコーラスは曲のほんの一部に過ぎません。日本でもそうですが、どうも世界的に見てボーカル偏重の傾向があるようです。
 この時代のヒット曲の中には、若い人たちだけで音楽を作るのではなくてもっと上の世代の指導や関与が有った様で、幅広い年代層の人々に受け入れられるように仕上がっている作品が多く見受けられます。それにしてもこの曲の構成と演奏は素晴らしく、華麗なストリングス、パワーのある熱いブラスサウンド、ソウルフルなハモンド・オルガンのソロ・・・それらが絡んで豪華なサウンドを創造しています。まさに芸術の領域と言える作品です。ボストンと並んでクラシック音楽が盛んな街フィラデルフィアでこそ出来得た作品だったかも知れません。



♪そして今は / ジルベール・ベコー ( ET MAINTENANT / GILBERT BECAUD )

  ピアノの中央ハの音を叩きつづけるすこぶる単純な伴奏で始まるボレロ形式のシャンソンです。愛する人を失った悲しみと絶望感を徐々に感情を込めて歌い上げて行きます。「歌の基本は詩の朗読であって、詩の朗読を感情を込めて行なうと自然とメロディーやリズムの表現が加わって、それがシャンソン(歌)になる」と言う言葉を聞いた事があります。この曲を聴いているとうなづけますね。メロディは単調なのですが、歌詞を表現する表現力が違います。又最初は単調なのですが徐々に変化をつけて盛り上げていく伴奏も見事です。最後に自殺をほのめかす歌詞の内容で歌い終わった後にオーケストラが小節の途中で突然演奏を終えてしまう大胆なエンディングを行なっています。丁度文章で言うと体言止みたいな手法です。
  ジルベール・ベコーの文学的にも価値のある作詞、絶妙な歌唱表現、見事な編曲と伴奏。なかなか聴かせる名演奏だと思いますが、現在メディアで流れているのを聴いた事がありません。


 
♪そよ風と私 / パーシー・フェイス楽団 ( ANDALCIA / PERCY FAITH AND HIS ORCHESTRA )

 英語の題名は「ブリーズ・アンド・アイ(そよ風と私)」ですが原曲の題名はピアノ組曲「アンダルシア」です。キューバの大作曲家のエルネスト・レクオーナの作品です。この曲はパーシー・フェイスのライバルのマント・バーニーの演奏でも有名です。



♪ タブー / ザビアクガート楽団 ( TABOO / XAVIER CUGAT and his orchestra )

  ザビアクガート楽団の代表曲の一つに数え上げられる名演奏です。作曲はキューバの女流作曲家のマルガリータレクオーナ。混声コーラスとストリングスが秘密めいたタブーの旋律を歌い上げます。当時としてはすごく官能的で「セクシー」な演奏だったと思います。



♪ 渚のデート / コニー・フランシス(FOLLOW THE BOYS / CONNIE FRANCIS )

  ボーイ・ハントの名唱でおなじみのコニーフランシスが63年に放ったバラードの名曲です。ビルボードの順位は17位でしたが、作詞、作曲、オーケストラの演奏、コニーの絶唱と、どれを取っても大変力の入ったすばらしい作品だと思います。現代ではなかなかこのような絶唱やすばらしい大編成のバックオークストラは聴けません。コニーのすばらしく伸びるボーカルとバックのオーケストラの演奏を聴くとまるでカンツォーネの様です。それもそのはず。彼女はイタリア系アメリカ人で、後に得意のカンツォーネやイタリアン・ポップスを収録したLPを発表しています。


 
夏の日の恋 / パーシー・フェイス・オーケストラ ( THE THEME FROM "A SUMMER PLACE" / PERCY FAITH AND HIS ORCHESTRA )

 青い空の下に続く珊瑚礁、その外れで小さく白波がたっています。その様な状況が目に浮かぶような演奏です。パーシーフェイスはマントヴァーニと並ぶストリングスオーケストラの巨匠です。これらのストリングスオーケストラのサウンドは60年代ムードミュージックと呼ばれ音楽の一分野を築いていました。
 「夏の日の恋」は映画「避暑地の出来事」のテーマソングとしてマックス・スタイナーが作曲した名曲です。パーシーフェイス盤が大ヒットとなりました。「避暑地の出来事」はアメリカ最北端メイン州パイン島を舞台としているので珊瑚礁はないはずなのですが、海と言えば珊瑚礁が目に浮かぶのはテレビメディアで擦り込まれた浅はかな想像力のせいにしておきましょう。
 それにしてもパーシーフェイスの演奏は見事です。パーシーフェイスの名演奏として「ラ・メール」がありますがこれも海を描いた曲なのですがこれも又名演奏です。パーシーフェイスは海の描写が得意なようです。
 ピアノとストリングスそれに歯切れのよいドラムの音とウッドベースの低音がミックスして大変ここちよく聴かせてくれます。



♪映画「80日間世界一周」のテーマ / ヴィクター・ヤング・オーケストラ ( AROUND THE WORD / VICTOR YOUNG ORCHESTRA )

  「兼高かおる 世界の旅」という番組が日曜日の午前中にj放送されていました。日曜日の朝ちょっとおそめの朝食を取った後、のんびりくつろいでいるとテレビからこの曲が流れて来ました。雄大な雲の上をパンナムのマークを付けた旅客機が、このメロディーに合わせてのびのびと飛んでいました。高度成長真っ只中の日本でしたが海外旅行は庶民にとってまだまだ高嶺の花でした。ガイドを務める兼高かおるさんは話し方や身のこなしがとっても素敵でまさに「深窓の令嬢」といった感じでした。「----ですのよ。」といった今では死滅してしまった上品な言葉使いをされていました。提供が三井物産だったので「財閥のお嬢さんではないか?」といったうわさもありました。
   当時は一社で番組を提供する事が多く、提供する会社のポリシーで視聴率よりも番組の質を優先させた番組作りが出来たのではないかと思います。現代ではスポンサー相乗り番組が多く、結局視聴率だけを狙う事になるのでしょう。しかしこの番組を評価する人も多く、31年にも及ぶ超長寿番組となりました。平成2年に終了しましたが、その時は修学旅行や社員旅行でも海外へ行ける時代になっていたのです。
 映画は「世界一周を80日間で出来るか?」という賭けを描いていました。今の感覚からするとずいぶん日時がかかるものですね。映画よりもテーマ曲の方がが有名になって、「世界一周や海外旅行というとこの曲が頭に浮かぶ」---そういう方も多いのではないでしょうか。作曲は「エデンの東」でも有名なヴィクター・ヤング、この主題曲でアカデミー音楽賞に輝いています。



♪花 / リカルド・サントス楽団 ( HANA / RICARDO SANTOS AND HIS ORCHESTRA )

  流れるようなストリングスサウンドが春のうららかな隅田川の流れを見事に表現わしています。関西尼崎生まれの私はこの曲から隅田川は武庫川のような自然が多く残された川だと思っていましたが、東京に来て実際の隅田川を見て驚いてしまいました。
  自転車で遠くの見知らぬ町まで出かけていくのが幼い頃の私の日課でした。家から遠く離れて少し心細くなってきている時に、どこからともなく、流れるようなストリングスサウンドで、「花」のメロディーが聴こえてきました。その時、何か懐かしいような不思議な気持ちがしたのです。その後中学生時代にこのサウンドはリカルド・サントス楽団の演奏だと解ります。
  実はこの曲が、私にとっての「音のデジャブ」の原風景になっているのです。



♪パリの空の下 / パーシー・フェイス楽団 ( UNDER PARIS SKIES / PERCY FAITH AND HIS ORCHESTRA )

 1951年の「パリの空の下セーヌは流れる」の主題曲でユーベル・ジローの作曲。パーシー・フェイスの演奏はストリングスを縦横無尽に操りパリの情景を見事なまでに表現しています。



♪ ハーレム・ノクターン / サム・テーラー ( HARLEM NOCTURNE / SAM THE MAN TAILOR )

  中学2年生の頃、5球スーパーのスピーカーを取り外し外部に音質の良いスピーカーを取り付けて友人達に自慢していた私は、叔父の家で2A3プッシュプル+グッドマンスピーカの組み合わせによる自作ハイファイシステムから出てきた「ハーレム・ノクターン」の生々しいテナー・サックスの音に圧倒されます。
 「世の中にこのようなサウンドが存在するのか?」と思ったほどです。それからはハイファイ追求の道に突進していく訳です。叔父の家で「ハーレム・ノクターン」を聴かなければ、私の人生は今とは違っていたでしょうね。
 叔父の家で聴いた「ハーレム・ノクターン」はテナー・サックスの音が分厚くてスケール感があり、しかもきらびやかでした。
 現在はいい音(そこそこの音)があふれているため良い音を聴いてもそう感動はしないのですが、1960年代前半ではいい音を聞く機会は非常に少なく、たまに聴くと大感動でした。



♪ ビバ・アメリカ / バンザイ( VIVA AMERICA / BANZAI )

  70年代の始め頃から80年代に賭けて全世界的にディスコブームが巻き起こるようになります。始めは白人ミュージシャンのロックが多かったのですが70年代半ば頃から中南米やブラックアフリカの音楽の影響を受けたソウルミュージックのディスコナンバーが多くヒットするようになりました。
  その中でもフランスのスタジオミュージシャンを集めて作ったといわれるバンド、バンザイが送り出した「ビバ・アメリカ」は出色の出来だと言えましょう。アメリカ讃歌の歌だと思われるのですが、やけくそになって歌っている男性ボーカリストの「ビバ!ビバ!」という声が何とも皮肉に聞こえます。ラテン語の歌詞がわからないのですが、アメリカの豊かさに憧れを抱くラテンアメリカ諸国の人々のやるせない思いが込められているような感じがします。 メロディーが少し物悲しいのが何とも言えません。


  
♪ 「ひまわり」のテーマ/ ヘンリー・マンシーニ楽団 ( Loss Of Love / Henry Mancini & His Orchestra )

  数多くの映画音楽の名曲を作り上げたヘンリー・マンシーニの作品の中でも1,2を争う名曲です。第二次世界大戦で行方不明となった夫を探してソ連へ旅立ったヒロインが、ウクライナの広大なひまわり畑に分け入るシーンがありました。そのシーンのバックにこの曲が流れます。曲の出だしは静かにピアノソロで始まり、混声コーラスとストリングスに主題が引き継がれます。そして今度はチェンバロが主題を奏でます。このように物悲しいメロディーをさまざまに変化して繰り返し聴かせ、ドラマティックに盛り上げて行くなかなかの名編曲名演奏です。  名画「ひまわり」もこの曲なしでは成り立たなかったでしょう。



♪ ひき潮 / ロバート・マクスウェル楽団 ( EBB TIDE / ROBERT MAXWELL AND HIS ORCHESTRA )

 ロバート・マクスウェルはクラシック畑出身の天才的なハープ演奏家で17才の時にはプロとしての演奏活動を行っていたそうです。ポピュラーミュージックをハープ演奏で聴かせる音楽家として世界的に有名でした。その彼が自分で作曲して演奏し、世界的なヒットとなったのが引き潮です。岸にうちては返す波の様子が音楽を聴いているだけで目に浮かぶようです。昔、テレビ放送に空き時間があった頃、海の映像に合わせてこの音楽がよく流れていました。
 引き潮はほかにもカバー盤がたくさん出ましたがその中ではフランク・チャクスフィールド・オーケストラの演奏がヒットしたようです。


 
♪ ひとり淋しく / ブレンダ・リー ( ALL ALONE AM I / BRENDA LEE )

 「ダイナマイト歌手」と呼ばれたブレンダ・リーにしてはしっとりとしたバラードです。
昔「テン・ミュージック・アベニュー」と言うディスクジョッキーがラジオ関西で放送されていたと思いますが、確かテーマソングに使われていたような気がします。昔のディスクジョッキーはアナウンサーの話し方に品が感じられましたが、今のDJの話し方を聞いていると、まるで仲間内と私的な会話を話しているようで、視聴者を意識しているようには感じられません。
 ブレンダの歌声と透き通るような女声スキャットの声が絡み合って夜空に登って行くような名編曲名演奏です。作曲は映画「日曜はダメよ」のテーマソングで有名なマノス・ハジダキスです。



♪ 標高905米 / ウーゴ・ブランコ楽団 ( COTA 905 / HUGO BLANCO Y SU ARPA VIAJERA ) 

 演奏はコーヒー・ルンバで有名なウーゴ・ブランコ楽団。題名の[標高905米」はまるで映画のタイトルのようです。演奏の方も映画音楽のようで、ヘンリー・マンシーニが音楽を担当した映画「ピンクの豹」の中の名曲「今宵を楽しく」に曲の構成やサウンドが似ています。ひょっとするとヘンリー・マンシーニのお手本になったかもしれません。



♪ふたりの天使 / サン・プルー楽団 ( CONCERTO POUR UNE VOIX / SAINT-PREUX )

 この天使の歌声のようなスキャットはきっと聴いたことがあるでしょう。原題は「ボーカルのためのコンチェルト」と言い、まるでクラシックの曲のようですが、サン・プルーが作曲しました。ボーカルはダニエル・リカーリと言う女性歌手でこの曲で一躍有名となりました。おそらく当初は女声スキャットを楽器と考えて曲を構成したのだと思いますがダニエル・リカーリの名前の方がサン・プルー楽団より響き渡ってしまって、現在では「ふたりの天使は」ダニエル・リカーリの曲となっているようです。



♪ブラジル / パーシー・フェイス楽団 ( BRAZIL / PERCY FAITH & HIS ORCHESTRA )

 アリ・バローゾ作曲によるサンバの名曲です。世界中のアーティストが取り上げている名曲中の名曲です。パーシー・フェイスの演奏ではないが、テリー・ギリアム監督のSF映画「未来世紀ブラジル」の中でも効果的に使われていました。新しいところではフリオ・イグレシアスのアルバムの中のラテンメドレーのブラジルもかなりの名演です。



♪ブルー・ムーン / パーシー・フェイス楽団 ( BLUE MOON / PERCY FAITH & HIS ORCHESTRA )

 リチャード・ロジャースが1933年に作曲したスタンダードナンバーで多くの男性歌手が取り上げています。



♪べサメ・ムーチョ / クレバノフ・ストリングス・オーケストラ ( BESAME MUCHO / THE CLEBANOFF STRINGS )

 メキシコのトリオ・ロス・パンチョスのコーラスでも有名です。日本人に好まれる曲として、日本で最もレコード化されるラテンの曲であると言われています。その中でクレバノフの演奏は編曲に特徴があり最初はスローテンポで出ますが途中から一転してアップテンポの演奏に変わります。
 メキシコの女流ピアニストで作曲家のコンスエロ・バロスケが作詞作曲し1941年に発表した曲です。



♪星を求めて/ビリー・ヴォーン楽団 (LOOK FOR A STAR / BILLY VAUGHN AND HIS ORCHESTRA)

 ストリングスサウンドを強調した美しい曲ですがイギリス映画「恐怖のサーカス」の主題歌です。主題歌が美しければ美しいほど怪奇映画としての「凄み」が増しそうです。一度見てみたい気がします。
 ビリーボーンはハワイアンサウンドを取り入れたインスツルメンタルバンドとして有名です。「峠の幌馬車」「真珠貝の唄」「月の入り江で」等が有名で複数のテナーサックスが作り出す微妙なユニゾンが何とも言えない独特の雰囲気を出しています。



♪「踊るバイオリン」 / デビッド・ローズ楽団 ( Holiday For Strings / David Rose And His Orchestra )

  ストリングスのピチカートで始まる印象的な曲です。作曲はデビッド・ローズ自身が行なっています。テレビ放送が始まって間もない頃の番組案内等のBGMとして良く使われていました。実はこのCDを米国在住の方から頂き、邦題がどうしても判らなかったのですが、藤沢市在住の方から邦題を教えて頂きました。確かにストリングスのピッチカートを聴いていると、バイオリンが踊っているような印象を受けます。



♪ボーイ・ハント /コニー・フランシス( Where The Boys  Are / CONNIE FRANCIS )

  ちょっと鼻に抜けた甘い声で、コニー・フランシスがまだ見ぬ初恋に寄せる乙女心を可憐に歌っています。いつ聴いても良く出来た曲だと感心してしまいます。この曲はコニー初出演の同名映画の主題歌として、コニーの依頼によってニール・セダカとハワード・グリンフィールドが作りました。
  曲名、映画名とも原題は 「Where The Boys Are」 だったのですが日本で映画が公開されるときには、何と「ボーイ・ハント」と言う邦題で公開されました。当時「ボーイ・ハント」という言葉は日本人にとって聴きなれない言葉で、映画公開時に「アメリカ人の女性は何と大胆なことをする」と物議があったものです。
  この当時の映画やポップスの邦題には、ヒットを狙うあまりずいぶん原題とかけ離れるものが多く存在していました。「愛の」とか「恋の」と言う枕詞を付けた邦題がやたら多かったと思います。時代の移り変わりにも耐えた名曲の邦題をいいかげんに付けてしまうと、それがいつまでも小さな汚点となって残ってしまいます。名曲なだけに少し残念な曲名でもあります。



♪真夜中のブルース / ベルト・ケンプフェルト楽団 ( MIDNIGHT BLUES / BERT KAEMPFERT AND HIS ORCHESTRA )  
 

 ベルト・ケンプフェルトのデビュー曲です。アクの強いトランペット・ソロとドラム・ソロのイントロはストリップショーの始まりのようなサウンドですが、それに続くトランペット・ソロの主題は一転して透き通るような清らかなサウンドに変化します。その対比の鮮やかさは見事です。ドイツ映画「朝な夕なに」の主題曲としても有名です。



♪マリア・エレナ /  ロス・インディオス・タバハラス  (MARIA ELENA / LOS INDIOS TABAJARAS)

  ギターの音が夜空に響き渡るような見事なサウンドです。リバーヴの掛け方が大変うまく、現在のデジタルリバーヴでは得られないふくよかな響きが魅力です。たったギター2本で奥行きのある広大な音楽世界を表現しています。メキシコの作曲家ロレンツ・バルセラータが1932年に作った曲でメキシコを代表する名曲です。



♪ミスター・ロンリー / フランク・プールセル・グランド・オーケストラ ( MR.LONELY / FRANK POURCEL GRAND ORCHESTRA )

  「遠い地平線が消えて、ふかぶかとした夜の闇に心を休める時、 はるか雲海の上を音もなく流れ去る気流は、 たゆみない宇宙の営みを告げています。---」と言う 城達也さんの名調子のナレーションで始まるFM東京の深夜番組「ジェットストリーム」のテーマミュージックとして特に有名です。 
  この曲を聴くと多くの人が、人生の一時期を思い出すでしょう。受験勉強に明け暮れて毎夜机に向かいながら聴いた人、社会人になってくたくたになるまで働いてアパートに帰ってきてベッドにもぐり込んでは、ほっとしながら聴いた人、失恋して本当にさびしい気持ちで聴いた人。いろんな思い出がよみがえって来そうです。
  この時代までは、イージーリスニングやインスツルメンタルと言われているボーカルの無いポピュラーミュージックが放送されていました。現代ではこのような番組が民放ではほとんどなくなってしまった様です。残念なことです。
  フランク・プールセルはフランスを代表するストリングス・オーケストラで[急流」や「アドロ」が有名です。「ミスター・ロンリー」はボビー・ビントンのヒット曲でもあります。



♪魅惑の宵 / マントヴァーニ・オーケストラ (  SOME ENCHANTED EVENING / MANTOVANI AND HIS ORCHESTRA )

「シャルメーヌ」とならぶマントバーニの代表作です。「魅惑の宵」と「シャルメーヌ」がシングル盤の裏表にプレスされてよく売り出されていました。「魅惑の宵」はリチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタイン二世によるミュージカル「南太平洋」の中のナンバーです。「南太平洋」の中のナンバーでは他に「バリ・ハイ」が有名です。
 マントバーニの落ち着いた調べはテレビ放送の放送終了の音楽としても使われていました。女性アナウンサーの「夜も更けて参りました。本日の放送はこれで終了させていただきます。どうか火の元に注意してお休み下さい。」というようなナレーションとともにこの曲がかかっていたような気がするのですが、それは遠い日の幻でしょうか?



♪ムーラン・ルージュの歌 / パーシー・フェイス楽団 ( THE SONG FROM MOULIN ROUGE / PERCY FAITH & HIS ORCHESTRA )

 1952年の名作映画「赤い風車」主題歌でジョルジュ・オーリックが作曲しました。「赤い風車」は19世紀末のモンマルトルで、キャバレーの踊り子等の夜の世界の人々を描き、ポスター画を芸術の域にまで高めた天才画家ロートレックの生涯を描いた作品です。人生に失望したロートレックが悲痛の表情でガスコックを開き自殺を計るが、踊り子が激しくドアをノックする音を聴いて、自殺を思い留まるシーンが印象的でした。
 パーシー・フェイスの「ムーラン・ルージュの歌」は翌53年に世界的なヒットとなっています。



♪モアー「世界残酷ものがたり」より / サウンドトラック (MORE / ORIGINAL SOUND TRACK FROM "MONDO CANE")

 ヤコペッティ監督の「世界残酷物語」に使われていた名曲です。「世界残酷物語」(1962年公開) は世界各地の残酷な奇習や風俗を描いたドキュメンタリー映画で当時一世を風靡したのですが、後ほどヤコペッティ流の演出(やらせ)が大問題となりました。ただし大筋では本質を捕らえており、現在の一部のテレビドキュメンタリーの演出の方が白を黒と言ってしまうので、よっぽど悪質だと思います。
 残酷場面のオンパレードのように思われますが「人間の持つ飽くなき欲望こそが、残酷な行為の源泉である」とのメッセージが貫かれています。次から次に人間の欲望の犠牲になる動物や人々の残酷シーンの中に一つだけホッとする場面があります。それは復活祭のために青色のひよこを造るシーンです。孵化器か開けられると、そこにはきれいな青色のひよこがぎっしりと元気よくさえずっています。今から考えると青いヒヨコが誕生するのはちょっと変で、これもヤコペッティの演出かと思いますが。とにかく、思わずホッとするところで美しい「モア」の曲が流れ始めます。「モア」は後ほど発表される歌ではモアな愛情を表現したラブバラードになっていますが、本当は際限のない人間の悲しい欲望を表しているのではないかと思います。三国一郎さん(だったと思う)の沈んだ調子のナレーションも、もの悲しさを盛り上げていました。不思議ともう一度見てみたい映画です。
 作曲はイタリアの映画音楽作家としてエンニオ・モリコーネと並び称されるリズ・オルトラーニです。1963年度グラミー賞最優秀インスツルメンタル・テーマ賞に輝いています。


 

♪モアー / ブレンダ・リー ( MORE / BRENDA LEE )

 サウンドトラック版の「モアー」はスローテンポのストリングスサウンドで美しいが哀愁の漂う微妙な味付がなされていました。ブレンダ・リーの曲は力強くダイナミックに歌い上げられます。そこには迷いがなく、ひたすら愛に生きる力強さが有ります。サウンドトラック版と聞き比べると面白いと思います。



♪森を歩こう/ホルスト・ヤンコフスキー ( A WALK IN THE BLACK FOREST/HORST JANKOWSKI )

  軽快なタッチのピアノ演奏は「森を歩こう」というよりも「森を駆けよう」といった感じに聴こえます。リズムを刻むギターのカッティングに、ピアノの主旋律よりも深めの印象的なリバーヴ処理が施されていて、遠近感のあるサウンドにしあがっています。1970年代初頭に大ヒットした名曲です。



♪ローラ / パーシー・フェイス楽団 ( LAURA / PERCY FAITH & HIS ORCHESTRA )

 「夏の日の恋」で有名なパーシー・フェイス楽団の名演奏です。1947年の映画「ローラ殺人事件」の主題曲ででビット・ラスキンの作品です。映画を見たことはないのですが、曲調からは美しいマッハッタンの夕暮れを想像していました。映画のページにリンクを貼らして頂いてから知ったのですが、映画はやはりニューヨークを舞台にした映画でした。
 日本のジャズボーカルの若きホープ小林桂氏のコンサートで「この映画を見た方はいますか?見た方は拍手をしてください」と舞台上から質問すると、何千人も入っているオーチャドホールでわずかに一人か二人の拍手が聞こえただけでした。なかなかレアな作品なのですが一度観てみたいミステリー映画ですです。



♪ラ・メール / パーシー・フェイス楽団 ( BEYOND THE SEA / PERCY FAITH & HIS ORCHESTRA )

 「夏の日の恋」とならぶパーシー・フェイスの代表的な作品。ラ・メールとはフランス語で「海」を表しています。元はシャンソンの名曲です。中学生の頃購入した4曲入りの17cmLPに「枯葉」や「パリの空の下」と共に収録されていたのですがどういう訳か音が歪んでいて、好きな曲なのだが、聴くたびに心苦しい気持ちがしたものです。


 
♪ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ  / ヘレン・メリル (YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO / HELEN MERRILL)

 舌をかみそうな長いタイトルですが原題のままの方がヘレンメリルのボーカルをストレートに表すのでレコード会社の担当者も邦題に変えなかったのでしょう。
愛する人の帰りを待ち望む気持ちをすばらしいジャズボーカルで聞かせます。この曲を聞いたのがきっかけでモダンジャズやジャズボーカルが好きになった方も多いと思います。
 ヘレンメリルの歌詞はいたって短く簡潔で、愛する人が帰った後の温かい家の情景を、間奏のピアノソロやそれに続くトランペットソロが巧みに表現しています。作曲はビギン・ザ・ビギンでおなじみのコール・ポーターです。ところでこのアルバムにはクインシー・ジョーンズが編曲に参加しています。演奏はジャズ界の巨匠クリフォード・ブラウン。作曲、編曲、演奏、ボーカルすべてにわたって一流所が作り上げた歴史的名演奏です。



♪ユー・ビロング・トゥ・ミー / ジョー・スタッフォード (YOU BELONG TO ME / JO STAFFORD) 

  どこかでで聴いたことのあるような懐かしいサウンドです。聴いていて何かリラックスします。不思議な効用のある歌です。
 52歳ぐらいの英国人のエンジニアと仕事をしたときに、BGM用にさまざまな曲をCD-Rに焼いて聴かせたところ、「ユー・ビロング・トゥ・ミー」がお気に入りの曲のようで、鼻歌を歌いながら楽しそうに仕事をしていました。イギリスでもかなりヒットした様です。
  ジョー・スタッフォードは第二次世界大戦の頃から歌っている歌手で、その哀愁を呼び起こす歌声は、戦地の兵士に望郷の念を抱かせるのでホームシックボイスと呼ばれていたそうです。



ラヴ・レター / ジュリー・ロンドン ( Love Letters / Julie London )

 米国を代表する映画音楽作曲家のビクター・ヤングが作曲した同名映画の主題曲です。スタンダードナンバーとなり多くの歌手や演奏家が録音しています。作詞はエドワード・ヘイマン。
 ジュリーロンドンは印象的なハスキー・ボイスでしっとりと歌い上げています。最初の印象はぱっとしないのですが何回か聴くと忘れられなくなる不思議な曲です。いつの間にか鼻歌で歌っていたりするから名曲と言えましょう。
 



♪ワイオミング / マントヴァーニ・オーケストラ ( WYOMING / MANTOVANI AND HIS ORCHESTRA )
 

 ワイオミング州の、のどかな草原の風景を思い起こさせる美しいワルツの名曲です。作曲はジーン・ウィリアムス、なんとアメリカ人ではなくてイギリス人でした。マントヴァーニの演奏はこの曲のように間奏にホルンが入る場合が多いようです。そのせいか、パーシーフェイスと比較すると都会的でないというか、ちょっと田舎っぽい感じがします。 この曲は中学校の放送部で、放課後の放送のテーマ曲として使用したので青春時代の忘れ得ない曲となりました。間奏部分で音のレベルが急に下がるため、その部分からナレーションを入れるとつながりが大変良かったのです.

ご意見ご感想は rkita@kitake.com までお気軽にどうぞ。ただし最初のメールアドレスのrを取ってkitaアットマークkitake.comに送って下さい。ホームページ上のメールアドレスに対して自動的に広告メールを送るシステムがあるようです。広告メールが押し寄せて困っています。

ホームページに戻る