現代のポピュラーミュージック名曲百選

 現在中高年がじっくり聴ける音楽はあまり放送されません。日本でも世界でも芸術性の高いポピュラーミュージックは毎年かなりの音楽が作られているはずです。しかし私たちが耳にできる曲はほんのわずかに限られています。放送局はあいもかわらず若者向きの曲ばかりを放送し続けています。そこでこの10年以内に作られた芸術性の高いポピュラーミュージックを内外を問わず、紹介したいと思いす。

 曲名をクリックするとMP3でおよそ45秒間試聴することが出来ます。ディスクに保存するか、実行するかをたずねてきた場合は、「上記の場所から実行」を選択してください。パソコンの設定を書き変えてしまうような怪しいプログラムは全く入っていません。ダウンロードされるファイルはMP3のデータだけなので御安心ください。

 オリジナルのCDは圧縮がかかっていませんのでもっと良い音がします。気に入った曲やミュージシャンを覚えておいてCD購入の参考として下さい。
  
   従来MP3ファイルはストリーム再生可能なプレヤーが少なかったのですが、Windows98MEやWindows2000搭載のMedia Playerは、MP3ファイルのストリーム再生が可能となりました。 INS64以上の通信速度であればストリーム再生が可能だと思われます。MP3のファイルは48kbpsのステレオです。
 


アンフォゲッタブル / ナタリー・コール (UN FORGETTABLE / NATALIE COLE )

  ナタリー・コールの伸びのある声と、亡き父ナット・キング・コールの渋みのある声が見事に調和してすばらしいデュエットです。1660年代初頭に録音されたキング・コールのボーカルを最新のデジタル技術で加工、合成して新たな曲としてまとめています。
  「デジタルは捏造を目指す」と私はこの頃よく思いますが、このような芸術性の高い捏造であれば大いに結構です。このアルバムには他にもすばらしい録音が数多く収録されており、聴き応えのあるアルバムにしあがっています。参加ミュージシャンやアレンジャーも超一流のメンバーが参加しており、すべてに渡ってお薦めの1枚です。 


カルーソー / パバロッティ ( Caruso / Luciano Pavarotti )

 パバロッティは現代を代表する世界的なテノール歌手として有名ですが、彼の唄うカルーソーはオペラのアリアのようなダイナミックな歌唱力の魅力とポピュラーミュージックの親しみやすさの魅力を併せ持っています。それもそのはずで作曲のルチオ・ダルラはイタリアを代表するシンガーソングライターでポピュラーミュージック畑の人です。
 カルーソーとは、1873年ナポリ生まれの天才的なテノール歌手エンリーコ・カルーソーを示しています。パバロッティ自身カルーソーを「時代を超越した最高のテノール」と賞しています


清河(チョンハー)への道 / 新井英一

 私の小学生時代の親友にT君という在日の友人がいました。彼は秀才でクラス委員長をやっていました。どういうわけか勉強の出来ない私と気が合って、一緒に鉄くずを拾ってこづかい稼ぎをしておりました。ある日「彼が日本人ではないこと」をふと忘れて日本人がよく使う差別的な言い回しをして「しまった!」と思ったのですが、後の祭りです。すると彼は私の顔をまじまじと見て「北までがそんな事を口にするとは思えへんかった。日本人は朝鮮人をすぐに馬鹿にする」と言って目にいっぱい涙を浮かべ、当時日本人の子供達が唄っていた差別的なざれ唄を最後まで唄い通しました。その時から私は絶対に民族差別的な発言はすまいと心に誓ったのでした。この曲を聴いてふとT君の事を思い出しました。
 「清河への道」は1番から48番まであり、1曲が44分もある長い曲です。在日韓国人の半生を描いたスケールの大きい叙述史で、父親が生まれた故郷の村(清河)への旅をしながら、在日韓国人として生きてきた半生を振り返るストーリーとなっています。様々な思いをへて家にたどり着き「みんなの笑顔が嬉しくて 家族が俺の国だよと 妻と子供を抱き寄せた」ところで終わっています。
 このアルバムは第37回日本レコード大賞「アルバム大賞」を受賞しています。私が仕事で携わった事があるメルダック・スタジオで録音されているのも嬉しいですね。このような芸術性のあるアルバムに間接的にも役に立てたと思うと、仕事の生き甲斐にもなります。


 


タイム・トゥ・セイ・グッバイ / サラ・ブライトマン ( TIME TO SAY GOODBYE / SARAH BRIGHTMAN )

 この曲はサラ・ブライトマンとイタリア人のテノール アンドレア・ボッチェリとのデュエットです。サラ・ブライトマンはロンドンミュージカルの経験が深いベテランシンガーです。サラの美しい透き通るような声とボッチェリの力強い歌声が絡み合うなかなかの名唱です。バックの演奏も最高です。全ヨーロッパだけでもで900万枚以上の売り上げがあったそうです。恐らく全世界を合わせると軽く1000万枚以上のビッグヒットです。芸術性の高い良質な音楽も大ヒットする可能性を示してくれました。


華 / 保坂由佳 ( HANA / YUKA HOSAKA )

 美しい琴の音色の中にも凜とした強さを秘めたこの曲は、CDタイトルの「Will−心の華」からもお解りになるように美しさの中に秘めている強い意志を表しているようです。
 実はこの曲を知ったのは仕事の関係で取引先の今は亡き社長さんにCDを頂いたのがきっかけでした。一度聞いてすぐに気に入ってしまいました。多くのレコード会社が大人向けの音楽製作をためらっている中で、勇気のある会社だと感心しました。J・DNAレコードではこれからも日本の伝統的な楽器を使いながらも世界に通用する曲を作っていくそうです。


通り過ぎてゆく男達 / パトリシア・カース (Les Hommes Qui Passent / Patricia Caas)

  ソニー・ミュージックのマスタリングルーム(CD化するときの最終的な音質の調整と曲順などの編集を行なう部屋)の移転工事を行なったとき、その部屋の担当者で日本を代表するマスタリング・エンジニアの田中さんがチェック用に聴いておられたCDです。アーティスト名を教えていただいて早速CDを買ってきました。
  しかし私のシステムから出る音と田中さんの部屋の音には「雲泥の差」とはこの事かと思うほどの差があり、私のシステムの見直しが迫られました。プロの耳はすごいですね。配線工事が終わってこの曲を聴いた時、田中さんが「右チャンネルが何か変だ、高域が濁って聞こえる」と言われました。私の耳には違いがわからなかったのですが各部をチェックするとスピーカーシステムの上に、ターミナルの交換に使用したプライヤを置き忘れていました(すいません)。  どうもそれが鳴っていたみたいです。取り除くと「高域の濁り」は消失してしまいました。
  イントロのチェロの重いサウンドと物悲しいアコーディオンの響きは、この後に続くボーカルの内容を暗示しているようです。このイントロを聴いただけで「これはいける」と思ってしまいます。演奏と録音がすばらしく、久しぶりに高音質のCDを楽しむことが出来ました。この曲はライブから収録したもので、演奏時間が6分以上あります。後半ではバイオリンがロシア民謡の「黒い瞳」のメロディーを演奏する部分があります。これもなかなかの名演奏です。


リベル・タンゴ / ヨーヨー・マ ( LIBERTANGO / YO-YO MA )

 アルゼンチンタンゴの中でもピアソラの曲は難解であると言われていました。その中でリベル・タンゴは非常に解りやすい曲であると言えます。軍政のアルゼンチンを逃れてイタリアに移住していた頃のピアソラの作品で、やや暗いメロディーに軍政の元での自由を求める民族の悲願が込められているような名曲です。
 リベル・タンゴはロマン・ポランスキー監督ハリソン・フォード主演の映画「フランテック」の中でナイトクラブのシーンで効果的に使われていました。この時はフランス人らしい女性シンガーが歌っていました。


私はピアノ / デ・ラ・ルス ( I AM A PIANO / ORQUESTA DE LA LUZ )

 作詞作曲は桑田佳祐、サザン・オールスターズが唄ってヒットしました。
デ・ラ・ルスは全て日本人ミュージシャンによるサルサのバンドです。デ・ラ・ルスは見事なまでに完全なサルサに作り替えています。曲調にかすかに桑田らしさが残っているがしかし見事な編曲です。ノラの軽く澄みきった歌声とパーフェクトな演奏が素晴らしく、文句なしの名演奏です。
 日本だけでなく海外でもヒットしてほしい名曲です。


She  エルビス・コステロ

 映画「ノッティングヒルの恋人」の主題歌としてアメリカで大ヒットしました。映画は大女優としがない本屋の店員との恋を描いた、逆玉のこし又は逆シンデレラストーリーで女性の進出が目覚ましい現代の映画と言えましょう。映画の中に出てくる主題曲が妙に耳に残る曲でロックミュージシャンのエルビス・コステロが切々と歌い上げています。オリジナルはシャルル・アズナブールです。どおりでセンスが一味違うなと思いました。
 シャルル・アズナブールは、愛する人の名前を30回も呼び続けるシャンソンの情熱的な名曲「イザベラ」で有名です。


恋のサヴァイヴァル /  グロリア・ゲイナー  ( I WILL SRVIVE / GLORIA GAYNOR )

  女装の男性ショーガールの自己確立へのロードムービー「プリシラ」の中で使われていた名曲である。主人公の男性ショーガールは超ド派手な衣装でステージに登場し、口パクでこの名曲を歌うのだが、グロリア・ゲイナーのドライな声とやや悲しみを帯びたメロディーが女装シンガーの口パク演技とものの見事にマッチして思わず画面に引き込まれてしまいます。コンガのリズムとストリングスが軽妙に絡み合ってなかなかの名演奏です。
  特に砂漠の中で原住民のアボリジニの宴に飛び入りで参加してパーフォマンスを見せるシーンは圧巻で、超奇抜な衣装に見ている方は思わずのけぞってしまいます。しかし音楽、衣装、振り付けは最高です。音楽の方はこの曲にアボリジニの民族楽器が加わっていてなかなか聴かせてくれます。期待してサントラ盤を買ったのですが残念ながら民族楽器の音が入っているバージョンは入っていませんでした。
  「プリシラ」は「性同一性障害を抱えた人」を描いた映画ではありますが、差別される側の「社会の少数者」を暖かく描いた映画で、作風が健全なため家族そろって観ることが出来ます。又幅広い世代に受け入れられる映画だと思います。


愛は花、君はその種子    都はるみ

  スタジオジブリの製作によるアニメの名作「おもひでぽろぽろ」のラストシーンで使われています。少女時代の幻想を引きずる女性が農家のせがれと付き合っていくうちに、幻想の殻から脱皮して彼と結ばれる話ですが各シーンが超リアルです。農家のせがれが乗っている軽自動車(スバルR-2)のエンジン音までちゃんと再現されていました。そういえば、主人公が軽自動車に乗っている映画は本当に少ないですね。軽自動車の愛用者としてこの映画を賛美するものであります。我が家でも「おもひでぽろぽろ」をジブリのベスト作品だとする意見が多いようである。観ていると、どういうわけかラストシーンで「涙がぽろぽろ」出て来るのである。
  「愛は花、君はその種子」は伝説のロッククイーン、ジャニス・ジョプリンの短い生涯を描いた映画「ローズ」のエンディングタイトルで使われていました。ボーカルはジャニス・ジョプリンを演じたベッド・ミドラーが唄っていました。都はるみの「愛は花、君はその種子」はオリジナルのベッド・ミドラーの作品に対して引けを取らないすばらしい出来映えだと思います。


ルシファー  / アラン・パーソンズ・プロジェクト ( LUCIFER / THE ALAN PARSONS PROJECT )

  スキーの見せ場をドラマ仕立てにして見せる、「ファイヤーアンドアイス」という映画がありました。まだスノーボードが今ほど一般的ではなかった時代ですが、スノーボードが雪や砂の斜面をダンスを踊る様に滑走する場面があります。スノーボーダーは手を振り回しながらバランスを取り、眉間に皺を寄せて哲学者のような形相で滑走して行きます。その時この「ルシファー」の曲が流れていました。リズムとメロディーがシーンにぴったりはまっていました。スキーファン、スノーボードファンにはぜひ見てもらいたい映画です。
   最初モールス信号のような音で始まり、シンセサイザーがちょっと物悲しい旋律を奏でます。その間ビートの利いたリズムが正確に刻まれます。1960年代に流行した哀愁を帯びたビートポップスに通じるところがあって気に入ってしまいました。


WATCH WHAT HAPPEN (原 大力&HisFriends Vol.2)

 仕事関係の大先輩である沢口真生(まさき)さんが三鷹でジャズのライブ・バー(UNA MAS)をやっておられて、主なセッションをすべて録音されています。そのなかで特に素晴らしかった演奏をCD化したのがUNAMAS JAZZシリーズです。特筆されるのはその音質です。臨場感満点の生々しい音は、さすがベテラン・エンジニア沢口さんならではの感がします。
 この曲ではないのですが、運転中に「おりゃー!」と言う声が聞こえるので、「あれ?私は何も悪いことはしていないのだが?いったいどの車の運転手が怒っているのか?」とキョロキョロあたりを見回したことがあります。結局音を小さくしていたカーステレオからの叫び声だったのですが、本当に声がリアルでした。
 大きいシステムで聴くともっと臨場感がでるので、家でJAZZバーの雰囲気に酔うことが出来ます。カフェのBGMとしてもお奨めできそうです。
 WATCH WHAT HAPPENは映画「シェルブールの雨傘」の中で使うために,、ミシェル・ルグランが作曲したフランス生まれの曲ですが、ボサノバになったり、ジャズにアレンジされたりして,すっかりスタンダード・ナンバーになっています。



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