高気密高断熱の家を建てて見れば

これから家を立てる人のための家作りヒント集

 

家を建てる、誰に頼む

 住宅を建てる場合近ごろ大手のハウスメーカーに建築を依頼する人が増えていますが、私は自分で間取りや家の構造を考えて知り合いの工務店に建築を依頼しました。なぜその様な面倒なことを自ら行ったかというと私たち一家がが住む家には私たち一家の考え方が現れているべきだと思ったからです。もちろんハウスメーカーの住宅にもそれぞれのポリシーがあるのは解っています。しかし多くの住宅メーカーの中から、私たち一家の住宅に対する考え方とほぼ同じ考え方で住宅を設計しているハウスメーカーを探すのは至難の技と思ったからです。

 

決め手だった工務店の存在

 自分で間取りや材料、工法を考え基本設計をして住宅建築を依頼する場合、工務店の人たちにとって慣れた工法や構造と異なるので作業効率はぐんと落ちてしまいます。そこでほとんどの工務店や大手ハウスメーカーは、出来るだけ自分たちが標準とする工法や材料をしつこく施主に迫ります。私が依頼した株式会社鈴芳は家族的な小さな工務店で、メンバーは棟梁の鈴木さんと大工の阪本さん、主に設計を担当している棟梁の息子で一級建築士の康夫さんの3人だけです。しかし棟梁の鈴木さんは高齢ながら頭が柔軟で、素人設計の私のアイデアを良く取り入れてくれます。すでに私が借りていた借家の改築を2度お願いしていますので気心が知れています。又息子の康夫さんはプロの設計家の立場から私の設計のミスに気づいて修正してくれたり、私の意図を汲んでもっと適切な材料を提案してくれました。このような工務店に恵まれていた事が、自分で家を設計して建てるのを決意させたのです。

 

家を建てるにあたって北家のポリシーは何だ?

 冒頭で偉そうなことをかいてしまったのですが、では北家のポリシーは一体何なのでしょうか今まで深くは考えていませんでした。いろいろ考えて見たのですがやはりそれは「オープンマインド」でしょう。つらいことも、悲しいことも、恥ずかしいことも隠さない。心に壁を作らない。そのような家族、人柄でありたいものです。
 もうひとつのポリシーは「人と同じことはしない」ということです。日本人は同じ方向に向かって一斉に走り出します。バブルのころの銀行がよい例です。そのころの銀行は担保(土地)さえあれば、猿にでも貸し出しをするのではないかと思われるほど激しい土地融資を行っていました。それが現在の長引く不況の原因になっています。もっといろんな考え方や行動をとる人がバランス良く混在しないと日本の社会は行き詰まってしまいます。
 わが家では「こんなことをする子は他にいませんよ!」という言葉を叱る言葉ではなく、褒める言葉に使いたいものです。
 最後に「形式や権威にとらわれず、合理性を追求しよう」というのがあります。家を建てるとなると家の外観や、格式を気にする人もいますが、わが家はそう言うところには全く無視して、ひたすら合理性と簡素を追求します。「いつもジーンズとTシャツ、乗っている車は軽自動車」と見てくれにこだわらず合理性、経済性を追求しています。

 

工法は木軸在来方法に決定

 最初に工法を決定しました。ツーバイフォー工法も魅力的だったのですが鈴芳工務店が施工できないのと、将来の間取りの変更や、改築がやりにくいので見送ることとしました。
 在来の木軸工法なら間取りの変更や改築が簡単に出来るのと、高気密、高断熱の施工方法により木軸工法でもツーバイフォー工法と同じかそれ以上の断熱性能が得られるので決定しました。

 

間取りを考える

 間取りは、土地を購入したときに立っていた家屋の間取りを参考にして考えました。ただ風呂場の行き場がなくて、なんと玄関の真上の2階になってしまいました。

苦しかった建ぺい率30%容積率50%、でもかえってよい結果に

 建築予定地は第1種風致地区で建ぺい率30%容積率50%とウルトラ規制が厳しかったのです。敷地面積は190u(57.6坪)だったのですが建築面積57u(17坪)述べ面積94u(28坪)と小ぶりな家となりました。特に容積率が50%というのは厳しく、トイレを1階と2階の2か所にもうけると風呂場の行き場所がなくなってしまい玄関の真上というとんでもない場所となってしまいました。もし家族に方角などに凝る人がいてればまずアウトになるような間取りです。厳しい建ぺい率と容積率は設計には苦労したのですが庭面積が広くなったこと、2階の面積が小さくなり見た目に安定した外観になった、子供が独立した後のことをを考えるとそう大きい家は必要でなかったなど、結果的にはよかったと思います。広い芝生の庭で時々バーベキューを楽しんでいます。

 

湿気の多い日本に土間床工法は合わないのか?

 欧米の住宅は敷地をゆるい台形型に整地し、最も高くなる部分を平坦に整地してその部分に家を建てます。床の部分は日本のように床下を作らず、地面にコンクリートの基礎をプラットホームのように作りその上に直接床板を貼ります。そして床の部分は日本の家屋のように地盤から50センチも高くするのではなく、地盤の最も高い部分と同じか、数センチだけ上げます。「これでは台風の時にすぐに床上浸水になってしまうのでは?」と心配されますが家の部分の地盤が周りよりも高くなっているのでそう簡単には浸水しません。
 高温多湿の日本では床下に風を入れることで家屋が腐ることを防いでいます。しかしこの工法は冷房も暖房もない時代には最良の工法でした。冬の暖房時に床下が存在すると部屋の温かい空気が床下に漏れて結露を起こしたり、床が冷たく感じたりしてしまいます。又床下はネズミやゴキブリの温床となってしまいます。床下を作らない土間床工法は、夏涼しく冬温かい地熱を利用しているので冬でも温かく、「冬に床がある程度温かいので床暖房にこだわらなくても良い」という意見もあります。土間床工法の理論によれば地面から数十センチ下の土中の温度は外気の温度に対して冬の場合は温かく、夏の日中の場合は外気の温度より低いとしています。確かに冬眠する動物は地面の中で冬を過ごしますし、夏に土を掘り起こすと表面以外はひんやりとしています。どうやら土間床工法の理論は正しいのではないか、日本の伝統的な床下構造は、冷暖房の利用が常識となっている現在の住居としては不適切ではないかと言う気がします。
 日本でツーバイフォー工法を採用している大手ハウスメーカーのほとんどは土間床工法を採用していません。欧米で養われた工法なのに床下があるのは奇妙な感じがします。床下を作らなければならない法律上の規制でもあるのでしょうか。真相を知りたい気がします。

 

土間床工法と床暖房の採用

 冷暖房を使用することを前提条件とした場合、従来の床下ありの工法よりも土間床工法の方が合理的な気がします。かえって日本のような高温多湿な国であれば効果的な気がします。床下からのネズミやゴキブリの侵入がない事も考えるとかなり魅力的です。
 そこで思い切って土間床構造を採用することにしました。しかし家の中でも靴を履いて生活する欧米人と違って私たちははだしで生活するので、床が冷たいとかなり苦痛となってしまいます。そこで土間床工法を採用し、なおかつ床暖房も補助的に採用することとしました。

 

配管に気を使う土間床工法

 台所やトイレの水回り配管の位置を間違うと土間床工法の場合は、土間コンクリートを解体してやり直さなければなりません。床下が存在する場合は配管を忘れても後から何とか配管を通すことが出来るのですが、土間床工法の場合は土間コンクリートを砕いてやり直さなければなりません。間違いは許されないのです。

 

床暖房の方式は制御の簡単な電気式に決定

 土間床工法の場合の床暖房は土間コンクリートを打つ前に温水配管や電気のヒーターパネルを敷き詰めその上から土間コンクリートを流し込んで施工します。石油ヒーターを使った温水式は燃料費が格安で経済効果が最も高いのですが、設計を失敗すると不要なところが異常に熱くなったり、必要なところが寒くなったりします。今のところ部屋ごとに温度を細かく制御する方法が確立されていません。それに比べて電気式であれば部屋ごとに制御することが容易です。電気式に決定した理由は、温水式は施工業者が見つからなかったのと、私の専門が電気音響なので電気であればなんとかなると考えたからです。

 

高気密高断熱の決め手の防風シートと防湿ポリエチレンシートと計画換気

 外壁と内壁との間にグラスウールを詰めて断熱施工しますが、従来の施工方法ではただそれだけでした。そうすると台所などで換気扇を使ったり北風が吹いたりすると、建物の壁面に冷たい空気が進入します。風向きが逆になったり換気扇をとめたりすると今度は壁の透き間から温かい湿った空気が壁の内部に侵入します。そうすると急に冷やされて結露を起します。壁の内部の湿気はグラスウールの性能を落としたりカビを発生させたりします。特にカビは大量に発生するとモルタルを浸透して壁の外部にまで達します。今から30年ぐらい前に建てられた木造モルタル塗りの家屋の北側壁面にこのようなカビが現れているのを見つけることがあります。
 そこで内壁の内側に防湿用のポリエチレンシートを全面的に貼り付け、室内の湿気が壁面内部の空間に侵入しないようにします。外壁の内側には、湿気は通すが水と風は通さない防風シートを貼ります。
 防風シートはゴアテックスの様なもので一見紙に見えますが手で裂こうとしても全く裂くことは出来ません。口にぴったり当てて息を吹きつけると全く空気を通さないことが解ります。又水を載せると水玉になって転がり防水性があるのが解ります。それで不思議なのは、湯気をだしているポットの上に置いてその上に手をかざすと湿気が防風シートを通って上がってきているのがまともに感じられます。水も空気も通さないのに不思議なことです。防風シートを外壁内部に貼っておくと壁内部に溜まった湿気を外部に追い出してくれます。又外壁の隙間から侵入してくる水をとめることが出来ます。
 計画換気とは換気システムによって空調機とは別にあるいは空調機と一体となって新鮮な外気と部屋の空気を入れ替えるシステムです。高気密高断熱になるとすきま風が全くなくなるため、窓を閉め切ってしまうと換気が全く出来なくなってしまいます。そこで換気システムを使って各部屋の空域を24時間中計画的に入れ換える、それが計画換気です。

 

計画換気システムはスウェーデン製のエアロバーコに決定

 換気システムは日本製の物や吸排同時の熱交換型なども考えましたが、経済性と実績を考えてスウェーデン製のエアロバーコを採用しました。エアロバーコの換気システムは集中換気システムで風呂場などの最も換気能力を要するところの近くの天井に集中換気システム本体を取りつけ、各部屋からの排気エアダクトを換気システム本体に接続するものです。排気ダクトは風呂場、トイレ、台所、主寝室、リビングルームの優先順位で配置します。換気システム本体には各部屋からのダクトを接続するポートが7個付属しており最大7か所からの空気をまとめて排出することが出来ます。
 エアロバーコの説明書の設計例によれば子供部屋のドアの下を15ミリ程度開けておけば風呂場やトイレの排気ポートに子供部屋の空気が流れて行くので子供部屋には排気ポートを付ける必要はないとされています。
 我が家の場合は2F風呂場、1Fトイレ、2Fトイレ、洗濯室、主寝室、子供部屋1、ピアノ部屋、の7か所で計画していました。エアロバーコの施工会社が台所に排気ポートを設置した方がよいと言うので子供部屋1の排気ポートがなくなってしまいました。洗濯室が台所のとなりにあるので、よろい戸の扉を通って台所の空気は洗濯室の排気ポートに流れて行くだろうと私は考えたのですがプロのアドバイスに従っておきました。

 

乾燥機能付きの洗濯室

 風呂場の行き場がなくなって2階に行ってしまったので1階に1坪のスペースが空き、ちょうどそこを洗濯室としました。洗濯室は1階の1番奥にあり台どころの隣でもあります。
主婦の仕事の主な物は炊事と洗濯です。この二つの作業が同時に効率的に行えれば主婦の負担は軽減されるはずです。また洗濯の仕事の中で結構面倒なのは洗濯物を干す作業です。 特に洗濯物を干す位置が洗濯室から離れていると不便です。洗濯室で洗った洗濯物をすぐさま乾かせると便利なはずです。
 洗濯室に排気ポートを設け、排気量を多く取りると、1階のリビングや台所の乾燥した空気を洗濯室に引き込んで、洗濯物を乾かすとともに、洗濯室の湿気を外に排出してくれるはずです。排気ポートは24時間働いているので洗濯物はきっと乾くはずです。成功すると大変便利な洗濯室になると思われます。

 

台所隣の洗濯室、天井に排気ポートが見える。

 

輸入建材を多用した洋風デザイン

 ドアや窓の建具のカタログを見ていると輸入建材が意外と安いことに気がつきました。日本の建材はキズがないことや仕上げの滑らかさに異常にこだわり、手間をかけその分材料をケチっています。輸入建材は、仕上げは荒っぽいですが丈夫で材料を豊富に使っています。日本のドアにある内部が空洞のドアなどは輸入ドアにはありません。また輸入ドアは機密性がしっかりしているため標準のドアや窓でも高気密住宅用として使用することが出来ます。日本製の場合は高気密住宅用の高価な物を使用しなければなりません。
 畳の部屋に椅子やベッドを持ち込む生活に疑問を感じていたのですべての部屋をフローリングにして、家を洋風にする事にしました。

 

窓を上げ下げ窓にしてテラス窓は基本的に廃止

 日当りを好む日本人の家は南側に大きなテラス窓があるのが特徴です。しかし私は大きなテラス窓に疑問を感じます。それは窓の開口が床まであるため外から部屋の中が丸見えになってしまい、そのため塀を高くする必要が発生します。敷地が広い場合は塀が高くても気にならないかもしれませんが、敷地が狭い場合は塀を高くすると圧迫感が生じます。この圧迫感は通行人や燐家の住民も同じように感じてしまいます。そこで庭と道路側の間は塀をなくしてしまいました。ちょうど新聞配達の少年が新聞を投げ込んでいるアメリカの住宅をまねたようなものです。ただし敷地面積はアメリカ住宅の5分の1ぐらいですが。 テラス窓であれば塀がないと落ち着きませんが、窓の下の部分が床から1m以上の上げ下げ窓なら外からの視線があまり気になりません。

 

よくできている輸入建材の上げ下げ窓

 上げ下げ窓はアンダーゼン社のダブルハングドアを使用しました。上げ下げ窓は引き戸と異なって下側のレールの部分がないので掃除が簡単です。引き違い戸のレール部分は溝が深く掃除に苦労します。窓の外側の拭き掃除も窓を反転させることで、室内側から簡単に行うことがが出来ます。日本製の上げ下げ窓と違って標準品がペアガラスになっています。欧米の建材ではペアガラスが当然のように標準品となっています。近所のスイス人の話によると「スイスではトリプルグラスが標準」だそうです。
 このペアガラスの偉力はなかなかのもので冬に結露などしたことはありません。また防音性もしっかりしていて窓を閉めると外部の音はほとんど聞こえなくなります。日本のサッシ業界は後れているとしか言いようがありません。ペアガラスとともに断熱性を向上させている物として木製サッシの使用が上げられます。日本で窓枠として最も多く使用されているアルミは熱の良導体です。そのためペアガラスを使用しても窓枠部分で結露しています。
 このようにアンダーゼンの上げ下げ窓は数々の特徴を持っていますが、日本の都市部のでほとんどの地域で使用できないそうです。と言うのは木製ということで防火地域と準防火地域での使用が制限されているからです。私の場合建ぺい率があまりにも厳しいため防火及び準防火地域の指定を受けていないので使用することが出来ました。木は一旦燃えても、表面が炭化するとかなり燃えにくくなるのです。これはバーベキューコンロで木炭に火を着けようとするときに思い知らされます。このように木はそう簡単に燃えるわけではないので、実験もせずに使用を制限するのは非関税障壁であるとアメリカから批難されています。

 

丈夫な輸入材料のムクの床板

 床材は輸入建材のオークの床材を使用する事にしました。理由は日本製に比べて安価なことと丈夫なことです。私の事務所の床は日本製の床材で合板の上に天然木が貼ってあります。事務所ですからキャスター付きの椅子で動き回ります。中には四六時中前後に貧乏揺すりをしながら机に向かって仕事をしているスタッフもいます。当然椅子の下の床は薄い天然木がはがれて見るも無残な姿になっています。どうして日本の建築材料はこうも貧しいのでしょうか。今回使用したムクの床板は大変丈夫で、傷が付いても後でペーパーを掛ければ直ってしまいます。また、直ることが解っているのでそのまま放っておくとそのうちキズはあまり目立たなくなってしまいます。ただしムク板にはそれなりの使用のノウハウが必要なことも後で解りました。

 

地球環境に考慮してプラスチック製品の使用を極力控避ける。

 プラスチック製品は建築廃材になったとき処理しにくく公害となってしまいます。特に塩化ビニールなど塩素含有プラスチック類は燃やすとダイオキシンが発生しやすく現在社会問題化しています。絶縁性能が必要な電気製品を除き、金属や陶器、木製品で商品が手に入るのならプラスチック製の物は購入しないようにしています。建材もプラスチックはなるべく使わないようにしています。

 

カビの生えにくい和紙の壁紙

 半導体の製造過程で問題となるカビに関する書物を読んだときに「ドイツではビニール製の壁紙は手に入らず、家庭用の壁紙は100%紙製である」との記事を目にしました。
 日本では塩化ビニール製の壁紙が当然のように使用されています。ところが塩化ビニールにはカビが発生しやすいのです。プラスチックにカビが生える? 一見不思議な気もしますが事実なのです。ビニールやプラスチックはカビの好物なのだそうです。抗菌剤で抗カビ処理されたビニールクロスもありますが和紙製の壁紙を使用しました。和紙製の壁紙は臭いもなく、また手触りもカラッとしていて快適です。汚れも意外と落ちやすいようです。

 

家具は持ち込まず、作り付けのクローゼットを多用

 靴やコートを収納するため、日本製の玄関セットのカタログを見ていると驚くほど高価なのに驚いてしまいました。輸入建具にバイフォールドドアと呼ばれるクローゼット用のドアがあったのでそれを利用してあちこちにクローゼットを設けました。家具を置かずにクローゼットを作ると、家具による出っ張りが室内にないので、見た目にすっきりします。そのかわりクローゼット内部の棚や、コートハンガーを考えなくてはなりません。
写真は玄関の靴入れ、靴箱より安価で収納力がある。

 

面倒だが洋風に仕上がるモールディング

 窓やドアの回り、天井と壁の間などにモールディングと呼ばれる化粧枠を貼るとぐんと洋風に仕上がります。日本では大工さんの腕がいいので、隅でも隙間が目立たずにピタッと合わせて施工することが出来ます。欧米では、そうは行かないのでモールディングと呼ばれる化粧枠を使ってボロ隠しをします。ただしこのボロ隠しがかっこいいのです。

2階廊下の天井付近の熱気を1階に送り返す吸気口を設置

 階段を2階へ上った廊下は空調機もなく、夏場にかなりの高温となってしまいます。中間パイプ型ダクトファンを使用して2階踊り場天井付近の温かい空気を1階床付近に引き下ろしています。我が家にこられた多くの方が1回床付近の排気口を指差して「この穴は何の穴ですか?」とよくたずねられます。

←階段の上の天井に設けられた吸気口。ファンは真冬以外は24時間回りっぱなしです。

 

 

→1階の排気口、上の長方形の部分は施工上の都合で大きく開けた開口部をふさいだ跡です。下の開口部からあったかい空気が出てきます。

 

 

玄関を洋風にキメる、輸入建材の円柱(カラム)

 玄関の柱は輸入建材の円柱を取り入れました。ご覧のようにミーハーなまで洋風な玄関となりました。何も知らずに無邪気に使っていますが欧米人からみると使用方法に間違いが見られるのかもしれません。

 

玄関ポーチの床に煉瓦を使う

 欧米のポーチの床に煉瓦がよく使われていますが日本の住宅では使われていません。使われていたとしてもそれは煉瓦ではなくて煉瓦タイルです。おそらく日本で使われていないのは煉瓦だと長年の使用ですり減って行くのを嫌ってのことでしょう。煉瓦の代わりに煉瓦タイルを使っていますが雨の日に滑りやすく、訪問した家の玄関で転倒しそうになったことがあります。ロンドンで見たレストランのの入り口の煉瓦が長年の使用ですり減って真ん中付近が低くなっているのを見たことがあります。何か感動を覚えたものです。そのように真ん中がすり減るまでわが家が持つかは疑問ですが、雨の日に滑らないことは確かです。

 

玄関マットは芝生の天然マット

 玄関マットは置かず道路から入る部分までの間を芝生と煉瓦を市松模様に配して芝生で靴の汚れを取るように計画しました。当初煉瓦を立てに地中に埋め市松模様に配置することで踏みつけから芝生を保護するように考えていたのですが、造園業の方から「2枚を一組とした市松模様にすると見栄えが良い」との提案がありそれに従いました。確かに見栄えは良いのですが、芝生の部分が大きくなって、足がすっぽり入って踏みつけられ、良く踏まれる部分は芝生が育たなくなってしまいました。今年の冬に改修が必要です。

 

 

さてさて実際にすんでみた結果は?

 

全体的にカラッと乾燥した感じである。

 土間床工法を採用しているので建築中まだ床を張っていないコンクリートの土間の上に建築資材などのダンボールを置いていると、雨の日などはダンボールの底が湿っぽくなるのですが、わが家の場合いつもカラッとしていました。またコンクリート土間の上に落ちている細かい木屑もいつもさらさらしていました。
 工事が終わって梅雨どきに入居したのですが雨に濡れて外から帰ってきても家の中にいると着たままで衣服がすぐに乾燥します。原因として考えられるのは24時間集中換気システムが作動しているのと、土間床工法のため床下から湿気が上がってこないためでしょう。

 

土間床工法は夏涼しく、冬は効果があまり判らない。

 夏は床がひんやり冷えていて素足で歩くと気持ちがよい、冬はそれなりに床は冷えてしまいます。やはり電気床暖房にしていて良かったと思います。

 

埋設ヒーターの枚数をけちりすぎて床の温度にムラが出た床暖房。

 最大消費電力(引き込み容量)を押さえようとして埋設ヒーターの枚数を減らしたため床の温度にムラが出てしまいました。使用した埋設ヒーターの大きさは幅が440ミリ、長さが1000ミリ、消費電力は1枚あたり120ワットです。
 10畳の洋室にこのヒーターをたった6枚しか使っていませんが、部屋の温度は十分室温に上昇することが出来ます。ただしヒーターの真上の床はかなり熱く、またヒーターから外れた部分は冷たく感じています。コンクリートの熱伝導で床全体が温かくなると期待していたのですが熱は上には伝わりやすいのですが、横には全く拡がらないようです。
 1枚あたりの消費電力は120Wなのですが高気密住宅の場合はかなり高温になってしまいます。もう少し単位面積あたりの発熱量が低いヒーターが望まれますす。もし、120Wのヒーターを10畳の洋室の床全体に敷き詰めると部屋でサウナが楽しめるようになってしまうでしょう。
 後で友人に指摘されて気がついたのですが、ヒーターの枚数を減らすのではなくて調光装置などを使ってヒーターに流す電流を減らしてやれば多くの枚数を敷き詰めることが出来て温度ムラが出来なかったと思います。実際ヒーター自体の価格は思いのほか安いのです。いまさら床板とコンクリートを壊してやり直すわけにも行きません。専門が電気なのになぜ気がつかなかったのか残念です。
 これからの時代に440ミリ幅長さ1mで120ワットは単位面積あたりの発熱量と消費電力が大きすぎると思います。半分の60ワットぐらいが適当かと思われます。

 

トイレ、洗面所、洗濯室に床暖房を施したのは正解であった。

 トイレや洗面所などのユーティリティースペースはとかく冷遇されがちですが、こういうところこそ快適にしたいものです。3か所(合計2.5坪)に120ワットヒーターを合計3枚、たった360ワット分埋設しておきました。一部屋当たり120ワットです。120ワットと言うと100ワットの白熱電球よりちょっと多い目の発熱量ですが、高断熱住宅になるとそれで十分暖まってしまいます。しかも一旦暖まると通電時間は1/3以下になるようです。

施工後電源を入れるといきなり漏電ブレーカーが落ちて真っ青になった電気床暖房

 実は施工後に床暖房の電源を入れると4系統に分けた系統の内3系統以上の電源を入れると漏電ブレーカーが落ちると言うハプニングがありました。「遂に恐れていた釘打ちによる漏電が発生か!」と焦りましたが電気絶縁計による測定では全く漏電していません。ではどうして漏電ブレーカーが落ちるのでしょうか? しかも特定の系統で落ちるのではなく、3系統以上の電電を入れるとどの系統の組み合わせでも漏電ブレーカーが落ちてします。犯人は埋設ヒーターとコンクリートのラス網との間に発生した静電容量でした。テスターで漏電チェックを行ったときに指針の戻りがやけに遅いことから気がつきました。
 直流的には漏電していなくても、交流的には発生した静電容量によって漏電していたのです。しかし電流が微弱なので火災や感電を引き起こすほどのことはありません。漏電ブレーカーをもう1個増設し、一つの漏電ブレーカーで2系統を監視させることで漏電ブレーカーが誤動作するのを防ぎました。私の専門が弱電だったから良かったものの一般的な強電屋さんではお手上げになるところでした。
 電気は制御しやすいのですがエネルギー源としては高価であります。床面積が小さかったので電気にしたのですが床面積が大きい家の場合は電気代がかなり高くなってしまいます。石油ボイラーを使用した床暖房のほうが経済的だと思われます。ただし、メンテナンスが煩わしい、燃料の補給が面倒、ボイラーの設置場所が必要、住宅密集地の場合深夜の騒音が気になる、等の問題が考えられます。

 

大成功だった洗濯室

 家自体が乾燥気味なこともあり洗濯室の乾燥能力は抜群です。親子4人着る服がほとんどジーンズなどの綿製品でポリエステルなどの化学繊維の衣類が全くなく、条件としては非常に厳しいはずなのですが乾燥能力は抜群です。前の家では非常に渇きにくかった私愛用の軍足も簡単に乾いてしまいます。乾燥室が2畳と広くなく、洗濯物はかなり密集してつるされていますが(こんなにくっつけて乾くのかなと思うほど)、ちゃんと乾いています。
 集中換気システムの排気のおかげと思ったのですが、6か月間ほど集中換気システムの排気管が2箇所ではずれていて換気能力が大幅に落ちていたときがあるのですが乾燥能力にはさほど影響が出ませんでした。風通しの良いよろい戸の効果も大きいのかもしれません。 

4月から10月までタオルケット1枚で寝る、温かいというよりは暑いロフト

 寝る場所は、各部屋のロフト上のベッドですが、2階建ての家の最上部になるので温かいというより熱いぐらいです。日本の壁掛けエアコンは吹き出し口の角度が大きく変化できずに冷房時に、吹き出し口の角度があまり上に向きません。ロフトはエアコンの位置よりも高いのでエアコンの風は全く届きません。ロフトで適温になるためには冷房の温度を24度に設定しなければならず、エアコン運転中に、下のスペースにロフトから降りてみると過冷房で寒いくらいになっています。上下の温度差をなくす工夫が必要となっています。
 話は変わりますが、海外のコンドミニアムでウインド型クーラーがなんと床上すぐのところに設置してあるのを見たことがあります。風向きは床上から斜め45度ぐらいで上に吹き出しています。壁掛けエアコンを冷房で使用するときよりも足元が寒くないようです。
 日本製のエアコンも床置き型がもっと普及すれば良いと思います。床置き型なら冷房時ほぼ真上にも冷気を飛ばすことが出来るし、暖房時には下側の吹き出し口から温風を吹き出して床を温めることが出来ます。松下電器から床置き型のエアコンが発売されているのでこれからエアコンの導入を検討されている方はぜひともお勧めします。

 

排気ポートがないため子供部屋の臭いが抜けない。

 エアロバーコのマニュアルには「子供部屋に排気ポートは設けなくてよい」ことになっています。では子供部屋の空気はどのように入れ替わるかというと、アンダーカットした子供部屋のドアの下からトイレや浴室などの排気口へ流れていくことになっています。実際はアンダーカットしてもあまり効き目はありませんでした。排気口がある主寝室のペンキや接着剤の臭いはすぐに取れたのですが、子供部屋の臭いは半年経っても抜けません。
 わが家の場合、家内が窓を開けるのが大好きなため、真冬以外の日中は台所やリビングの窓が開け放たれいます。そのため子供部屋の前の廊下はほぼ大気圧になって、エアロバーコのマニュアルに掲載されているような負圧の状態になりません。よって子供部屋の空気は入れ替わることがないのです。私の基本設計では、台所の臭気は隣接する洗濯室の排気ポートによろい戸を通して吸い込まれるため、台所に排気ポートは設けず、それを子供部屋1に割り振り、後ほど子供部屋の排気菅を二つに分岐して子供部屋2にも排気ポートを設けるもくろみだったのですが、エアロバーコ専門の業者さんの意見(マニュアルどうり)に従って、台所に排気ポートを取りつけ、子供部屋に排気ポートは取りつけませんでした。
 あまりにも子供部屋の換気が悪いので、能力余りすぎでヒューヒューうるさい主寝室の配管を分岐し、子供部屋1と子供部屋2にも排気ポートを増設しました。子供部屋とは言え、寝室や密閉された居室には排気ポートが必要です。2、3歳の子供ならいざ知らず、14、5歳の年齢になると代謝量は4,50代の成人の2倍近くになるのですから排気ポートは絶対必要です。専門の施工業者もマニュアルどうりでなく「お客さん、子供部屋にも排気ポートを付けておいた方がよいですよ」というようなアドバイスがほしかった。

 

高気密住宅に住んでわかる換気の大切さ

 高気密住宅に住んでわかったのですが、家庭内の家具や、電気製品、パソコン、書籍などから、かなりのガスが発生しています。ピアノ部屋は私の書斎と兼用となっており、パソコンや書籍が入っています。この部屋の排気ポートにつながる排気ダクトが排気ポートから外れてしまって6か月ほど排気能力がほとんどなくなってしまった時期があります。その時ピアノ部屋に入る度に電気製品や家具やインクから出る臭いが気になっていました。今までの住宅では気にならなかったことです。高気密住宅を換気装置なしに建築すると、入居者はきっとシックハウス症候群に悩まされ続けるでしょう。
 私も息子のアトピーがひどくなったため、アトピーと換気性能とは直接の因果関係はないかもしれないが、一応気になるので子供部屋の換気を真剣に考え、改修工事を行うことを決心したのです。
  今回採用したエアロバーコにも一つだけ弱点があります。それはすべての窓を締め切って家の中の空気が負圧になることで換気のバランスが保たれていることです。エアロバーコの標準の設置例では子供部屋には排気ポートは設けないことになっています。家の空気が負圧になっていれば新鮮な空気は吸気口から子供部屋に入り、ドアの下から廊下に出て、トイレや風呂場の排気ポートから換気される仕組みになっています。ところが春秋の季節の良い時期に、他の部屋やリビングルームで窓を空けると家の内部の圧力が大気圧になってしまい、子供部屋の換気は出来なくなってしまいます。

 

施工のノウハウが必要だったムクの床材

 床材はオークのムク板を使用しましたが、入居して1か月ほど経ったとき集中豪雨がありまして、その2〜3日後に土間床工法のリビングの床が太鼓橋のように膨らんで持ち上がってしまいました。床材の長手方向に伸びた床材が壁にあたってそれ以上に伸びなくなり、弓なりに膨らんでしまったのです。まるで床下にエイリアンが潜んでいるような不気味な格好になってしまいました。すぐさま修正していただきましたが木材は結構長手方向に伸びるものですね。
 土間床工法の場合、壁との間に8ミリ程度の隙間を作り、伸縮性のある充填剤でその隙間を充填する工法を取る必要があったのです。そう言えばムクの床材を使用することが多い録音スタジオの床と壁の間に8ミリ程度隙間が開けてありシリコンの充填材が充填されているのを見たことがあります。「さすが音響専門の内装工事業者だ。床の振動が壁に伝わらないように気を使って施工しているのだな」と思っていました。実は床材の膨張対策だったのだ。

 

ワックスがけもノウハウが必要、ムクの床材

 建築の施工が完了したときに建築費の見積もりの中に清掃と床のワックスがけが含まれていたので水性ワックスをお願いしました。仕上がりはすごく美しかったのですが水を垂らすと水滴の後が白い斑点となって残ってしまいます。水滴がかかるおそれがある床にはムク板を使わないか、もし使う場合は油性ワックスを使用するのが正解だそうです。
 油性ワックスははだしで歩くと油っぽくて水性ワックスほど気持ちよくはありません。それに臭いも強いようです。プラスチックワックスは見た目がピカピカして品がなく、しかもはだしで歩くと、ねとねとしてしまいます。後で気がついたのですが水性ワックスを塗った直後に、雑巾がけをして余分なワックスを取り除いておくと、水滴がついてそれが乾いても白い斑点があまり目立つことがないようです。

家を建ててみて気がついた「塀のない家」のメリット

 私の家には塀がありません。なぜ塀を作らなかったかというと車を駐車しやすいことと、敷地を最大限有効利用したかったからです。
 当初はその様な「ケチ臭い」理由だったのですが住んでみると塀のない住宅には他のメリットもあることに気がつきました。
 第一のメリットはガーデニングや庭仕事をしているときに散歩をしている方々からお声を掛けてくださることです。「オープン」な家だからきっと声をかけやすいのでしょう。台風の後、倒れてきた自転車の下敷きになって壊れてしまった7人の小人の人形の破片を片付けていると、散歩中の何人かの人に「どうしたのですか?」と声をかけられました。ガーデニングやバイクメンテナンスの作業中に何人もの人に声をかけられ作業の説明や雑談をしているうちに時間が経過して、思ったよりも時間がかかってしまうことすら有ります。しかし老後になって暇を持て余したとき多くの方から気軽にお声を掛けて頂ける環境は大変貴重な財産だと思います。
 塀のないオープンな家がもたらす二つ目のメリットとして子供に与える影響があります。庭で遊んでいる姿がご近所の方や散歩中の方からよく見ることが出来ます。そのため顔を覚えられやすく、やばいことはやりにくくなります。息子がドラッグで逮捕された有名女優の家は、職業柄か2m以上の高い塀で取り囲まれた閉鎖的な邸宅でした。
 第三のメリットは泥棒に入られにくいと言うことです。隠れる場所がないため泥棒にとって誰かに見られているのではないかという恐怖感があります。オープンな家の構造は泥棒にとって仕事がしにくいそうで統計的に説明がつくそうです。
 犯罪の多いアメリカの住宅になぜ塀がないのか不思議に思っていました。アメリカに長期出張していた友人にそのことを尋ねてみると次のような回答がかえってきました。
「塀を作ると他の家や通行人から泥棒が見えなくなるからかえって泥棒に入られやすくなる。周りの家に塀がない住宅街の場合、自分の家だけ塀を作るとかえって泥棒の標的になりやすい。又住民の取り決めで塀の設置を禁止している地区もある。建物自体の侵入対策を万全にして侵入を防いでいる。例えば鍵を二重三重にして侵入するのに時間がかかるようにして対策している」との事です。
 そう言えばアメリカではドアの向きにもその考え方が現れています。日本はドアは基本的に外開きですがアメリカや海外では内開きです。不思議に思っていたので鈴芳鈴木康夫さんに尋ねると「外開きのドアは蝶番が外側になるから、蝶番の芯棒をタガネ等で叩いて上に抜き取ってしまえばばドアは簡単に外れてしまう。だから海外のドアはセキュリティーを第一に考えて内開きになっている。日本の場合はあまりにも住宅が狭いためセキュリティーよりも室内の広さの方を優先させているので外開きになっている」そうです。
 第四のメリットは見た目がよいことです。塀のない住宅は敷地が狭くても見た目に広く感じます。又狭い道路を歩いているときに車とすれ違う場合敷地の境界上やちょっと敷地にはいることで安全に車をかわすことが出来ます。塀が乱立した住宅街は道路を歩く人に圧迫感を与えます。塀がない家の前を歩くと圧迫感を感じさせません。
  庭の景観をその家の住民と通行人で共有することが出来、庭の樹木がよりいっそう街の景観の向上に寄与することが出来ます。又同じガーデニングをするにしても自分だけの楽しみで行う場合に比べてやりがいがあります。我が家に塀があったなら、庭の芝生は雑草にやられて、雑草だらけの庭になっていたでしょう。
 このように塀なし住宅には住んでみて判る数々のメリットがあります。現在、私が住んでいる地区は住環境の保全を目指して住民協定を作る運動が始まっています。私は塀のない家や高さが1.2m以下の低い塀の家のメリットを地域の皆様に経験者として伝えていきたいと思っています。

参考文献 

新版 あなたが建てる快適住宅 兼坂 亮一 著 けやき出版

アメリカの家日本の家 戸谷 英世 著 井上書院

ご意見ご感想は ryasuo@kitake.com までお気軽にどうぞ。ただし最初のメールアドレスのrを取ってyasuoアットマークkitake.comに送って下さい。ホームページ上のメールアドレスに対して自動的に広告メールを送るシステムがあるようです。広告メールが押し寄せて困っています。

ホームページに戻る